2023年に裁判員を務めた18、19歳は26人おり、全体の0・5%にとどまっていたことが最高裁の調査でわかった。裁判員裁判は同年から18、19歳の有権者が審理に参加できるようになり、両年齢の参加規模が初めて明らかになった。辞退者が多かったとみられ、専門家は「若い世代が参加しやすい環境整備が必要だ」と指摘している。
裁判員裁判は来月で導入から15年を迎える。22年4月の改正少年法の施行に伴い、裁判員に選ばれる年齢は導入時の「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられた。選定の手続き上、23年から実際に裁判員になることが可能になった。
最高裁は制度の運用実態などを把握するため、裁判員を経験した人に年代などを問うアンケートを実施しており、23年は経験者計4714人の95・9%にあたる4525人が回答した。18、19歳の回答者は26人で、全体に占める割合は0・5%だった。
年代別の裁判員経験者の数が判明している22年の調査に基づき、年代別の人数を5で割って比較すると、両年齢と最も年代の近い20歳代では108人(2・6%)。最も経験者の多かった40歳代は203人(4・8%)で、両年齢の少なさが際立つ。
裁判員法には学生らが辞退できる規定があり、学業を理由に辞退を申し出た両年齢が多かったとみられる。
ただ、19歳で裁判員を務めた男子大学生は東京地裁で先月開かれた意見交換会で「評議などで様々な人の意見を聞き、柔軟に物事を考えることができた」と述べていた。
元裁判官の水野智幸・法政大教授(刑事法)は「多様な意見を反映させるため、若い世代が審理に加わることには意義がある。裁判所が制度の意義を周知し、教育現場も学生らが意欲的に裁判に臨めるような環境作りが求められる」と話す。