国民民主党の玉木雄一郎代表は23日夕、衆院東京15区補選(4月28日投開票)で推薦している無所属の乙武洋匡氏の応援に入り、特定の候補者や陣営による選挙戦の妨害行為に、怒りをあらわにした。
この日夕、乙武氏の陣営が東京都江東区内で街頭演説を始めると、つばさの党の根本良輔氏や同陣営関係者が選挙カーを接近させて停車。プラカードのようなものを掲げて乙武氏や玉木氏の前に立ちはだかり、聴衆からほとんど見えない状態になった。そんな中で演説に立った玉木氏は「選挙に出る候補者は一定の良識を持ち、それぞれの思いを競い合うのが本来の選挙や民主主義の姿。選挙を妨害する行為は許されない」とした上で「候補者だからある意味、厳しい取り締まりの対象とはなっていない」とも述べ、公職選挙法の現制度にも言及した。
今月21日に行われた乙武氏の街頭演説では、同氏の陣営関係者が男に突き飛ばされ、警視庁が暴行容疑で男を現行犯逮捕した。玉木氏はその後の当局の対応について「(男は)当初は暴行容疑で逮捕されたが、今日になって公選法の選挙自由妨害罪(容疑)で送検された。意義のある当局の対応だと思う」と、私見をまじえながら容疑が切り替わったことに触れ「思いをしっかりお伝えできないのは大変申し訳ない。思いを伝える権利を奪われるのは民主主義最大の脅威だが、暴力には負けない」とも訴えた。
乙武氏の陣営関係者によると、これまで妨害行為に関連してスタッフ6人が負傷するなどしたという。この日は110番通報を受けて警官が駆けつける中、根本氏に足を踏まれた聴衆の1人が転倒し、腰を強打する事態も起きた。
他の一部陣営でも同様の妨害行為が確認されており、本来の選挙の姿とはかけ離れた形の同補選の混乱は、後半戦に入っても収束する気配がない。乙武氏は取材に「各陣営、すごく疲弊しているし、何より有権者のみなさんに申し訳ない。(選挙戦は)残り4日ちょっとになったが、現行法でも適用できるのであればしっかり取り締まっていただき、各陣営の主張をしっかり聞いていただける環境をどうにか確保していただきたい」と訴えた。
同補選には、NHKから国民を守る党の福永活也氏、参政党の吉川里奈氏、無所属の秋元司氏、日本維新の会の金沢結衣氏、立憲民主党の酒井菜摘氏、日本保守党の飯山陽氏、無所属の須藤元気氏も立候補している。街頭演説会場の告知をとりやめている陣営も少なくない。