北朝鮮による拉致の可能性が排除できない「特定失踪者」の支援団体「特定失踪者問題調査会」の荒木和博代表は28日、東京都内で講演し、拉致問題解決のため、北朝鮮に最大限の圧力をかける必要性に言及した。「交渉では絶対に解決しない。北朝鮮が屈服する以外問題が進展する方法はない。日本がものすごい圧力をかけ、耐えかねた北朝鮮が『もう分かりました。返します』以外にない」と語った。
調査会は北朝鮮向けラジオ放送「しおかぜ」を運営している。
荒木氏は「金正恩朝鮮労働党総書記と仲良くする必要はない。彼の利益になることをしても、結局北朝鮮の人たちを弾圧することにつながる。金正恩体制自体を無くすことが日本としての最大の人道援助だ」と述べ、「体制を変えるためには情報を入れること。北朝鮮にとって、それが一番怖い。(北朝鮮でひそかに視聴される)アダルトビデオ(AV)のコンテンツに特定失踪者の情報や『金正恩を倒せ』というメッセージを入れてUSBで送る方法もある」と語った。
荒木氏は「北朝鮮の東海岸に海上自衛隊のイージス艦など持っていき、派手に訓練してもいい。いつでも爆弾を落としに行きそうだと見せかけ、北朝鮮から文句を言われたら『憲法の制約があってそんなことはできない。名前も自衛隊と書いてある』と言う。それで爆撃する訓練をすれば向こうも恐怖感を持つだろう」と語った。
日本人拉致被害者を巡り、北朝鮮は全員の状況を把握しているとの指摘がある。荒木氏はこうした見方を否定し、複数の北朝鮮の工作員の情報として「工作機関も機関の変更があり、そのたびに(拉致被害者に関する)資料を逸失している。何が何だか分からなくなっている」と述べた。
講演を主催した一般社団法人「アジア自由民主連帯協議会」(ペマ・ギャルポ会長)事務局長で評論家の三浦小太郎氏は「拉致の国民集会に防衛相や自衛隊幹部が制服姿で壇上に上がり『拉致は国家の主権問題だ』と一言述べるだけでも雰囲気は変わる」と強調した。(奥原慎平)