親の離婚、子に意見求めるのは「残酷」? 共同親権導入で議論

離婚後の共同親権導入を盛り込んだ民法改正案を巡り、7日の参院法務委員会で、父母の離婚に直面した子の意思や思いは、どこまで尊重されるべきかが議論になった。弁護士が子の意見を代弁する制度の活用を求める声が上がった一方、父母の対立時に子に意見を求めるのは酷という慎重意見も示された。
改正案は、離婚後の家族法制を大幅に見直し、共同親権を離婚後も認める仕組みを創設した。併せて、父母には子の人格を尊重して子を養育する義務があることも明記した。
改正案の要綱をとりまとめた法制審議会では「子どもの意見表明権」の取り扱いも議論になった。日本が1994年に批准した「子どもの権利条約」は子が自らに関わる事柄に、自由に意見表明できる権利を保障している。こうした点を踏まえ、民法も準拠させるべきかが論点となったが、賛否が割れて見送られた経緯がある。
7日の参院法務委に参考人として出席した、日本弁護士連合会子どもの権利委員会の浜田真樹弁護士(大阪弁護士会)は、親権の行使が子のためになされることを踏まえれば、子が自ら意見を述べる機会を保障する必要があると指摘した。その前提として、父母の離婚によって日々の生活や学校への通学にどのような変化が起きるのか、丁寧な説明が求められるとし、「子どもの手続代理人制度」の利用促進を提案した。
同制度は調停や審判の手続きに子が関わる際に、弁護士が専門的にサポートする仕組みで、2013年に施行された家事事件手続法で導入された。ただ、20~22年の利用状況は年間30~60件台にとどまっており、浜田弁護士は、公費負担がない費用面の課題や、制度の周知不足を挙げ、使いやすい制度に改めるべきだと訴えた。
一方、法制審の部会委員を務めた白大学の水野紀子教授(家族法)は参考人質疑で、父母が離婚する場面で、子の意見表明権を導入することについて「子どもに両親を選ばせることになり、残酷。一番簡単な結論として裁判官が飛びつくことになり、危険だ」と慎重な考えを示した。
改正案によって、子の意見はどのように扱われるのか。小泉龍司法相は国会審議で「改正案にある『子の人格の尊重』は、子の意見や意向が適切な形で考慮されるべきだという趣旨を含んでいる」と説明している。【三上健太郎】

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