新緑の季節。登山シーズンを迎える中、気を付けなければいけないのがクマとの遭遇です。専門家はエサ不足に子グマといったことし特有の危険性を指摘します。
絶好の山登り日和となった5月3日。
阿賀野市と阿賀町にまたがる五頭連峰で山開きが行われました。
〈登山客〉
「景色は最高ですね、東港からずーっと見えますもんね」
しかし、皆さんが気にしていたのは…
〈登山客〉
「クマ対策はクマ鈴と、笛があるんですよ。時々吹いたりして」
「クマスプレーか何か用意していかないと怖いなと思います」
“クマ”との遭遇です。
専門家はこの時期ならではの危険性があるといいます。
〈新潟大学フェロー 箕口秀夫さん〉
「冬眠明けには当然お腹が空いているので食料を求めて徘徊をする。そういう場所は私たちが山菜採りとか、タケノコ採りに利用する場所と一致している」
これは去年の春、魚沼市に設置したカメラの映像です。
男女2人が山菜を袋に入れています。
足元に夢中な2人は別々の方向へ離れていきました。
その2週間後、まったく同じ場所に映ったのはクマです。クマは好物のミズバショウの葉を夢中になって食べていました。
箕口さんはことしならではの危険性も指摘します。要因は去年秋のエサ不足です。
エサを求めて人里近くで活動したクマは山奥まで戻らず人里近くで冬眠し、春先もそのまま活動する可能性があるといいます。
また、春先のクマは前の年の秋に落ちた木の実をエサにしますが、凶作でその木の実も少ないため、人里に降りてエサを探すことが考えられるというのです。
さらに…
〈新潟大学フェロー 箕口秀夫さん〉
「昨年の秋は0歳の子グマを連れた親子グマが多く確認され ていたと思うが、それらの親子は一緒に冬眠をして、昨年の秋に引き続きこちらも親子グマに遭遇することが高い」
これは4月、北海道・根室市で撮影されたドライブレコーターの映像です。
林道を走行していると突然、猛スピードで突進してきたのは、大きな「ヒグマ」。
母グマは子グマを守ろるためにとくに神経質になります。
実は、ヒグマが襲ってくる直前には、子グマと見られるクマの姿が映っていました。
〈新潟大学フェロー 箕口秀夫さん〉
「あれも母グマにしてみれば子グマを守りたい一心で軽トラに向かってきたという状況なので、ツキノワグマはヒグマとは体の大きさ等違うところが多いが、子グマを守ろうとする行動は一緒なので気を付けなければいけません」
箕口さんは山などに入る際はクマへの対策として、鈴や笛、ラジオなど音の鳴るものを携帯して自分の存在を知らせること。
単独行動をしないこと。
自治体のホームページなどでクマの出没情報を確認することを呼びかけています。
〈新潟大学フェロー 箕口秀夫さん〉
「人が知恵を絞るとか工夫することによって上手に共存することが必要だと思う」
各地で山開きを迎える県内。
ことしはクマとの遭遇の可能性が高くなっているとして、改めて注意が必要です。