被差別部落の地名や写真をウェブサイトに掲載することは差別を助長するとして、大阪府内の掲載地域に住む70歳代男性がサイト運営者に掲載部分の削除を求めた仮処分の申し立てで、大阪地裁(井上直哉裁判長)は削除を命じた。決定は1日付。男性らが7日、大阪市内で記者会見し、明らかにした。サイトの該当部分は削除されたという。
決定によると、サイトは川崎市の出版社「示現舎」が運営し、被差別部落とされる全国336か所の地名や解説文や写真を掲載し、男性の自宅も写っていた。
運営者側は「特定する内容ではない」と主張したが、井上裁判長は、「部落の寺」「差別の門」といった説明があることを踏まえ、「写真と解説文が一体となって地域が被差別部落だと示している」と判断。この内容をサイトで掲載することは「差別的な扱いを受ける恐れなく、平穏な生活を送ることができる人格的な利益を侵害する」と結論づけた。
男性の代理人弁護士は「差別をあおる人に責任を取らせる内容で、画期的な決定だ」と評価した。
サイトを巡っては、掲載の削除や損害賠償を求める訴訟が、さいたま、新潟両地裁で起こされている。