愛知県内の30歳代の男性が、一緒に暮らす同性パートナーと同じ名字への変更を求めて申し立てた家事審判に対し、名古屋家裁が「夫婦と同様の婚姻に準じる関係にある」として変更を認める決定を出していたことがわかった。男性の代理人弁護士が9日明らかにした。同性カップルの名字を統一する目的で変更を認めるのは珍しいという。
代理人弁護士によると、男性は30歳代の同性パートナーと2018年から同居し、23年からは里親として2人で里子を養育。里子を医療機関に受診させる際などに、名字が異なるために2人の関係を意に反して説明させられるなどの支障があったという。このため同年11月に審判を申し立てた。
同家裁は3月14日付の決定で、「同性カップルに対し、一定程度、異性カップルと同質の法的保護を与えることは社会通念上、許容される」と指摘。2人の生活実態を「育児をしている異性の夫婦と実質的に変わらない」と認定した上で、2人の名字が異なることで社会生活上の支障が生じているとし、戸籍法で変更を認めるために必要な「やむを得ない事由」が存在するとした。
男性は代理人弁護士を通じ、「異性の夫婦と何ら変わらないものとしてみてくれ、司法がしっかり向き合ってくれたことが何よりうれしかった。同じようなマイノリティー(少数者)の人たちにとって『隠れて生きなくてもいい』という気持ちにつながる内容だ」とコメントした。