選挙の根幹揺るがす つばさの党の悪質「妨害」にメス 警察幹部「看過できない」

民主主義を支える選挙制度を根幹から揺るがしかねない活動を展開した「つばさの党」の関係先に13日、捜査のメスが入った。衆院東京15区補欠選挙を巡り、つばさの党関係者に追いかけ回されるなどして演説場所を変更するなど、対応を迫られた陣営もあった。警察幹部は「公正な選挙に反するもので、看過できない」と話している。
警視庁捜査2課が家宅捜索に踏み切った13日、東京都千代田区の党本部前では機動隊が警戒に当たっていた。ものものしい雰囲気に包まれる中、捜索は約2時間半にわたって行われた。捜査関係者によると、本部などから選挙カーや携帯電話、パソコンなど数十点を押収したという。
捜索を受け党代表の黒川敦彦氏は同日、報道陣の取材に対し、「合法だと思っている。理由は表現の自由を守る行為であるという認識だからだ」と主張した。
今回の家宅捜索の発端となったできごとは補選告示日の4月16日、東京都江東区のJR亀戸駅前で起こった。乙武洋匡(ひろただ)氏=無所属=の陣営に近づき、大音量で演説をかき消したなどとして、警視庁が18日、自由妨害で警告を出した。
しかし「妨害行為」は収まらなかった。矛先は飯山陽(あかり)氏=日本保守党=や金沢結衣氏=日本維新の会、酒井菜摘氏=立憲民主党=ら他の候補の陣営にも向かった。選挙カーを追い回し、拡声器で「売国奴」などとののしったり、卑猥な言葉を浴びせたりなどした。
選挙区外にもかかわらず、乙武氏を支援していた小池百合子都知事の自宅前で、大音量で演説し、騒音に対して住民が苦言を呈す場面もあった。
党幹部で補選の候補者だった根本良輔氏らは言論の自由、選挙の自由を盾にこうした行為を続けた。「法の範囲を超えない、ここまでは大丈夫という範囲内でしっかりやることができた」。補選の活動最終日に当たる27日夜、根本氏は産経新聞の取材に、達成感をにじませながら自信をのぞかせていた。
しかし、複数の陣営からは既に被害届が提出されており、警視庁は悪質な妨害行為であることの立証に向けて、慎重に捜査を進めるとみられる。(外崎晃彦、堀川玲、梅沢直史)

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