東京都は22日、顧客らから理不尽な要求を突きつけられる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」の防止条例制定に向けた基本方針を取りまとめた。民間事業所だけでなく、役所や学校などあらゆる職場でカスハラを禁じ、防止に向けた都や顧客、事業者の責務を明示した。この方針を基に条例案を策定し、今年秋の都議会での成立を目指す。
基本方針では、カスハラを「就業者に対する暴行や脅迫などの違法行為、または暴言や過度な要求などの不当で就業環境を害する行為」と定義した上で、「 何人 も行ってはならない」と明記した。店員と顧客のほか、受発注関係にある事業者、公務員と住民、議員と行政職員などあらゆる間柄においてカスハラを禁じた。違反者への罰則は設けない。
また、都は区市町村と連携して事業者などへの情報提供や助言・相談業務を行うとし、顧客はカスハラ防止のための行動に努めると定めた。事業者には、対応マニュアルの策定や相談体制の整備など、就業者の安全を確保しつつカスハラ行為者に適切な措置を取るよう求めた。
カスハラの代表的な類型として、商品・サービスに欠陥がないのにクレームをつけたり、身体・精神的な攻撃、土下座の要求、性的な言動をとったりするなど、社会通念上相当と認められない行為を挙げた。カスハラに該当するかどうか線引きが難しい行為もあり、今後、手引を作って具体例を示す。
小池百合子都知事は「これまでの議論を基本に、様々な現場で効力を発揮する都独自の条例の検討をスピード感を持って進める」と述べた。