岡山県が管理する岡南飛行場(岡山市南区)で、個人所有の小型機が停留料を支払わずに約6年間にわたって放置されており、県は使用者に対して未納料金の支払いや撤去を求めて地裁に提訴する方針を決めた。6月の定例県議会に関連議案を提出し、7月上旬に提訴する予定という。(中安真人)
県によると、停留されている小型機は、飛行場に格納庫を持たない利用者が一時的に駐機する場所に2016年6月から停留している。当初は日額約900円の停留料が支払われていたが、18年10月以降、未納になった。支払いは原則、離陸時に行うため、未納のまま停留を続けることが可能だった。
県は今年2月、条例に基づき、小型機の使用者に3月6日までに停留を終えるように命令したが、状況は変わらず、提訴を検討。使用者に対し、停留料約174万円と遅延損害金の支払いを求めるほか、所有者を含めた2人に、敷地外への撤去や損害賠償金の支払いなどを求めている。
同飛行場では、この小型機とは別の小型機も18年5月以降、停留料約373万円が未納のまま駐機されている。県は昨年5月に所有者に対して支払いを求める訴訟を岡山簡裁に起こし、今年3月、未納分の一部である約16万円の支払いを命じる判決が確定した。だが、所有者とは連絡が取れず、県は債権回収に向けた手続きを進めている。
同飛行場は1962年に「岡山空港」として開港。88年に同市北区に現在の岡山空港ができると、名前と役割を変え、小型機の拠点となった。これまでは利用促進の観点から停留期間の上限を定めておらず、制度が裏目に出た格好だ。県は今年2月、停留の上限を1か月とし、停留料の滞納がある場合は期間を延長できないように規定を変更した。
県によると小型機の離着陸が多い空港では、停留期限を設けているところが多いという。県航空企画推進課は「訴訟に関しては速やかに進めたい。今後は条例を適切に運用して再発防止に努めたい」と話している。