30日午前8時40分頃、陸上自衛隊の北富士演習場(山梨県富士吉田市など)で、訓練中に隊員が投げた 手榴弾 が爆発した際、飛んできた破片が別の男性隊員の首などに当たった。隊員は甲府市内の病院に搬送されたが、約2時間後に死亡が確認された。陸自は、全部隊に対して訓練での火器使用を一時的に中止するように指示した。
陸上幕僚監部によると、死亡したのは東京・練馬駐屯地の第1普通科連隊に所属する山宮拓3曹(29)。
30日の訓練は午前8時半に始まり、山宮3曹を含めて23人が参加していた。山宮3曹は、手榴弾を約30メートル先の標的に投げる隊員のそばで号令をかける役目で、事故は隊員が4発目を投げた直後に起きた。
訓練では通常、コの字形の防護壁(高さ約1メートル)の内側から手榴弾を投げた後、2人はすぐに身を隠す手順になっている。陸自は山宮3曹になぜ破片が当たったのか詳しく調べる。
陸自トップの森下泰臣・陸上幕僚長は30日の記者会見で、「武器を扱う組織として決してあってはならない。非常に重く受け止めている」と述べ、原因究明と再発防止を急ぐ考えを強調した。
陸自は事故原因が判明するまで手榴弾の使用を中止する。それ以外の火器は、各部隊の指揮官が安全対策を再確認した上で、順次、使用を再開する方針という。
陸自の訓練を巡っては、昨年6月にも岐阜市の射撃場で、元自衛官候補生の男(19)が隊員3人を銃撃し、2人を殺害する事件が起きている。