「政治資金規正法違反でも税の違反でもない」──。自身が代表を務める政党支部に寄付し、税控除を受けたと認めた自民党の平井卓也広報本部長が2日、フジテレビ系の番組に出演。「税理士に聞いたら控除が受けられるということだった」と釈明し、法令違反に当たらないと強調した。
平井氏は2020年に1000万円、21年に500万円を政党支部に寄付。所得税の一部を控除されたと報じられた。
租税特別措置法では個人が政党などに寄付した場合、寄付額の約3割が税額控除されるか、課税対象の所得総額から引かれる。政治家が自身の政治資金管理団体や後援会に寄付する場合は寄付者に「特別の利益」が及ぶとして寄付金控除の対象にならないが、自ら代表支部を務める党支部への寄付に限っては、その限りではない。この抜け穴を利用して厚かましくも居直ったのが、平井センセー含め自民党執行部の面々である。
平井氏は番組内で事実関係を認めたが、「法律でダメというふうにしないと、同じようにされている議員はたくさんいらっしゃると思うので、ルールを作るべきと思う」と自分の“脱法税逃れ”を棚に上げた。悪びれないのは「常習犯」だからだ。
東洋経済オンライン(21年5月28日付)によれば、調査報道グループ「フロントラインプレス」が全国会議員を対象に各議員が代表を務める政党支部の政治資金収支報告書(15~19年分)を調べたところ、平井氏は15年と17年の寄付計1500万円に関して控除を申請していたという。控除額は概算で約450万円に上る。
立正大法制研究所特別研究員の浦野広明氏(税法)がこう言う。
「平井さんの主張は『形式的に合法である』というだけの話です。自身が代表を務める政党支部に寄付するのは、実質的に自分の懐から自分の別の懐にお金を移しているに過ぎず、寄付行為に当たることがおかしい。形式的に合法だから違法ではないという理屈は通りません」
平井氏といえば、四国新聞社のオーナー一族の出身。祖父も父も元参院議院という世襲ボンボンだ。
菅内閣では全閣僚中2位の資産(3億2005万円)を誇ったクセに、法の網の目をかいくぐって税逃れとはセコイ。
■高級食材に舌鼓
ちなみに平井氏は先月、愛用のグルメサイト「Retty」に、1人あたり2万~3万円は下らない銀座の高級中華料理店や高級すき焼き店での食事を投稿している。
平然と脱法行為を働き、豪華グルメに舌鼓を打つモラルの低さに呆れるばかりだ。