昨年1月に大阪湾で死んだクジラの死骸処理を巡り、大阪市入札等監視委員会が意見を公表した7日、市契約管財局は、大阪港湾局の契約手続きに関する調査報告書を明らかにした。監視委の意見の前提となる報告書では市の内規で禁止された関係業者との会食など6項目の問題点を列挙。公明党などは市議会で追及する構えだ。
「市役所全体として重く受け止め、再発防止に努めたい」。横山英幸市長は7日、記者団の取材にこう述べた。
監視委は今年2月、クジラ処理の業務委託について「社会的影響が大きく、契約手続きの適正性に疑義がある」として調査することを決定。市契約管財局は4月までに決裁文書やメールを確認したほか、関係職員へのヒアリングを実施し、5月22日付で調査報告書をまとめた。
報告書では、死骸処理を委託した市内の海運会社との交渉担当ではなかった大阪港湾局の経営改革課長(当時)の不適切な言動が明らかになった。
経営改革課長は、価格交渉が行われていた令和5年1~3月に自費で飲食物を購入し、同社に勤務する元市職員と複数回会食。市の内規では癒着を疑われないよう関係業者との会食を禁止しており、契約事務を担当する課長として「職責における自覚が欠如している」と指摘した。
さらに市の試算額を事前に同社に伝えたほか、同年3月27日の最終協議の場では「8千万上回っといた方がええんちゃいますかね」などと同社側に立った発言を繰り返した。報告書では「疑惑や不信を招く行為」「契約事務を所管する立場としてふさわしいものでなく不適正」と批判した。
また、積算の根拠となる見積書の一部がないまま予定価格を決定していたことも確認された。市は同3月31日に同社と8019万円で契約を締結した後、同社から、死骸を海中に沈める費用に関する見積書の提出を受けた。業務委託設計書を作成する際の決裁文書も存在しなかった。
大阪港湾局での支出決定に際し、市の規程では2千万円を超える案件については局長決裁とされている。にもかかわらず経営改革課長の決裁で完了していた。
横山氏は職員の処分について「今の時点で処分を決めると、全体像が明らかになったときに別の事実が発覚する可能性もある」と説明。「事実を可能な限り明らかにしたうえで人事監察委員会を開き、必要があれば処分を検討する」と述べた。
市議会では公明市議らが「問題は終わっていない。徹底的に追及する」と手ぐすね引く。今月の市議会常任委員会で一連の契約手続きについて論戦が交わされる予定だ。