4月の衆院東京15区補欠選挙を巡り、他陣営の選挙カーを追い回して交通の便を妨げたなどとして、警視庁捜査2課は7日、政治団体「つばさの党」代表の黒川敦彦容疑者(45)=埼玉県朝霞市=ら男性3人を公職選挙法違反(自由妨害)の疑いで再逮捕した。
公選法は、候補者や陣営の交通の便を妨げる行為を自由妨害罪にあたるとして禁止している。選挙カーの追尾にこの規定を適用して立件したのは初とみられる。
他に再逮捕されたのは、東京15区補選に立候補して落選した党幹事長の根本良輔(29)=東京都練馬区=と、党幹部の杉田勇人(39)=同=両容疑者。
再逮捕容疑は、補選が告示された翌日の4月17日午後6時半ごろから約20分間、東京都江東区内の路上で、立憲民主党から出馬した酒井菜摘氏(37)の選挙カーを至近距離から追尾。警視庁深川署前に停車した選挙カーの前に立ちはだかり、酒井氏陣営の交通の便を妨げ、選挙活動を妨害したとしている。
警視庁によると、追尾は約3キロにわたり、3人はその間、拡声器を使って「答えるまでは追いかけますよ」などと怒鳴ったほか、酒井陣営のスタッフを撮影するなどの妨害をしたという。選挙カーに酒井氏は乗っていなかった。
黒川、根本両容疑者は、その6日後の23日午後6時過ぎにも、酒井氏陣営が江東区内で実施した街頭演説の会場で、拡声器を使い「あんたたちが答えないから、この人たちは演説が聞けないんですよ」と怒鳴るなどして演説を中止させ、選挙活動を妨害したとしている。警視庁は3人の認否を明らかにしていない。
つばさの党は、東京15区補選の期間中、「カーチェイス」と称して、他陣営の選挙カーの追尾を繰り返していた。これまでの捜査で、演説を妨害する行為が少なくとも5回、「カーチェイス」が少なくとも10回確認されているという。警視庁はこれらについても被害届を受理し、自由妨害容疑での立件を視野に捜査している。
東京地検は7日、告示日の4月16日に江東区のJR亀戸駅前のロータリーで、乙武洋匡氏(48)陣営の演説を妨害したとして、黒川容疑者ら3人を公選法違反(自由妨害)で起訴した。【遠藤龍、森田采花】