【速報】難病ALS 治験患者の半数以上で進行食い止め 白血病の薬「ボスチニブ」治験結果を発表 『世界初』めざすiPS研究所などの取り組み

全身の筋肉が次第に衰えていく難病のALS=筋萎縮性側索硬化症の進行を、白血病の治療薬で食い止める可能性。実現すれば『世界初』とされる取り組みの第2相試験の結果を、京都大学iPS細胞研究所などが発表しました。 ALSは運動神経に異常が起きて全身の筋力が低下し動けなくなる難病で、中年以降に多く、男性のほうが1.3~1.5倍多く、国内に約1万人の患者がいるということです。 iPS細胞研究所の井上治久教授らの研究チームは、慢性骨髄性白血病の治療薬である「ボスチニブ」が、ALSの進行を食い止めるのに有効であることを発見。 ボスチニブは細胞内で不要なたんぱく質の分解を促す機能があり、ALSの原因のたんぱく質を減らすことなどがわかっていました。◆創薬目指した治験スタート 2019年から2021年まで行った第1相試験では、ALS患者9人にこの薬を3か月間投与し、そのうちの5人で症状の進行が止まったということです。 その後、2022年から第2相試験をスタート。ALS患者26人にこの薬を5か月間投与、つまり投与期間を長く、かつ人数を増やして治験を行ってきました。◆治験の結果は… 京都大学iPS細胞研究所によりますと、「ボスチニブ」を投与した患者グループは投与していないグループと比較して、日常生活機能低下の抑制が認められるなど、主要な評価項目2つを達成しました。すなわち第1相試験に続き、ボスチニブの有効性が示唆されたということです。 進行の抑制は26人の治験患者の半数以上に認められたということです。また、下痢や肝機能障害は認められたものの、ALS特有の有害事象は認められなかったということです。 研究グループは今回の結果について「非常に良いものだった。治療薬としての効果は期待できる」などと受け止めています。 今後は、より多く、また発症早期の患者にも治験を行って、薬の有効性を調べたいとしています。 ALSの進行を止める薬が見つかれば世界初とみられ、創薬に向けた取り組みが続きます。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする