18年噴火の草津白根山、立ち入り禁止区域の画像など投稿相次ぐ…800件非公開に

2018年1月に噴火した群馬県の草津白根山で、火口湖「湯釜」周辺の立ち入り禁止区域に入る登山者が相次いでいる。区域内で撮影した画像などは国内最大手の登山者向けアプリに約800件投稿された。アプリ運営会社はこれらを非公開とし、ルールの順守を促している。(前橋支局 桜木優樹)
湯釜を望む展望台は、草津温泉街を訪れる人などに人気の観光スポットだったが、18年1月23日、同山最高峰の本白根山(2171メートル)で噴火が発生。近くのスキー場に噴石が飛ぶなどし、雪上訓練中だった自衛隊員1人が死亡、スキー客ら11人が重軽傷を負った。地元の草津町は、展望台を含む火口の半径500メートル以内や火口に通じる登山道を立ち入り禁止とした。
規制は現在も続いているが、噴火から年月がたち、SNSが普及した近年、立ち入り禁止区域で撮影した画像や感想をネット上で紹介する人が相次いでいる。
400万人以上が利用する登山用地図アプリ「YAMAP」の運営会社ヤマップ(福岡市)は、不適切な投稿があるたびに自動的に警告文を掲載し、利用者から通報があれば非公開にしている。通報は毎月100件ほどだったが、今年2月は約770件に急増。多くが草津白根山の投稿についてだった。この時期、無許可の立ち入りをやめるよう訴える呼びかけがX(旧ツイッター)であり、アプリ利用者らの関心が高まった可能性があるという。
同社は2月下旬、誤解を招く恐れがあるとして、草津白根山についての不適切な投稿は通報がなくても非公開にすることとし、その数は5月22日時点で834件に上る。特定の山の非公開件数では異例の多さといい、同社は「ルールを守ったうえで登山を楽しんでほしい」と呼びかけている。
一方、草津白根山の噴火警戒レベルは最も低い「1(活火山であることに留意)」で、湯釜の見学再開を望む声は多いという。草津温泉観光協会には、「湯釜に行けないのか」といった問い合わせが寄せられている。
草津町は湯釜周辺に13か所あるシェルターの修繕などの安全対策を講じたうえで、人数を制限し、ガイドが同行するなどの条件をつけ、規制を緩和することを検討している。黒岩信忠町長は「噴火が起きても命を守れる態勢をつくりたい」としたうえで、安全対策が終わり、登山者を迎える準備が整うまでは立ち入らないよう求めている。

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