多摩川スーツケース遺体、元交際相手の母親「死んでくれてよかった」…被害者に容疑者一家も敵意か

川崎市川崎区の多摩川で昨年12月、スーツケースから東京都江戸川区松島、無職原唯之さん(当時46歳)の遺体が見つかった事件は14日、神奈川県警が元交際相手の女とその家族ら5人を殺人容疑で再逮捕し、捜査は新たな局面を迎えた。家族ぐるみで原さんを殺害し、遺棄したとされる今回の事件。動機や役割分担など、核心部分の解明が進む。
「自分や家族のことを配信で話されるのが嫌だった」
元交際相手の無職西高舞容疑者(32)(大阪府高槻市岡本町)は先月、死体遺棄容疑で逮捕された後の調べに対し、こう供述したという。
捜査関係者などによると、原さんは10年以上前から「唯我」の名前で動画の生配信活動などを行っており、過激な発言を繰り返すことでも知られていた。舞容疑者と知り合ったのもネットで、昨年3月から約半年間交際した。2人は配信内容や金銭などを巡り、別れた後もトラブルが絶えなかったといい、原さんは配信で、舞容疑者の家族の不満を言うこともあった。
事件の構図も徐々に見えてきた。舞容疑者は原さんとのトラブルを母親の無職美保容疑者(51)(東京都大田区東六郷)と、交際相手の会社員岩城周平容疑者(39)(大阪府高槻市大畑町)に話していたとされ、父親の無職昌浩容疑者(53)(千葉県船橋市高野台)、兄のアルバイト昌吾容疑者(34)(東京都大田区東六郷)も加わったとみられる。昌浩、昌吾両容疑者は逮捕後、舞容疑者を守りたかったという趣旨の話をしている。
容疑を否認している美保容疑者は逮捕当初、原さんについて「死んでくれてよかった」などと供述。一家も原さんに対し、敵意を募らせていたようだ。
5人は、原さんが昨年12月15日、美保、昌吾両容疑者が暮らす東京都大田区のアパートを訪れるのに合わせ、犯行を計画したとされる。舞、岩城両容疑者が事前に区内の量販店でスーツケースを購入し、殺害後は、昌浩容疑者の車で遺体を運んだとされる。スーツケースの内側と外側には、重りのダンベルが複数つけられ、浮輪1個がしばりつけられていたという。浮輪はスーツケースを川の流れにのせるためだったとみられ、舞容疑者がダンベルと浮輪をネットで購入していた。
防犯カメラ映像などから、県警は、実際にスーツケースを河川敷に運んで遺棄したのは男3人だったとみている。
これまでの調べに対し、美保容疑者以外は容疑をおおむね認めているが、家族同士をかばい合うような供述もしているという。県警は、それぞれが事件にどう関与したのか裏付けを慎重に進めている。
今回の事件について、ある捜査関係者はこう言って首をかしげる。「舞容疑者を助けたい、守りたいという思いがあったのかもしれないが、殺人や死体遺棄は別次元の話。誰か一人でも止めようとはしなかったのだろうか」

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