今年5月、水俣病の患者との懇談会で、環境省の職員がマイクの音を絞った問題で、伊藤環境大臣は11日、長島町の獅子島を訪問し、水俣病の患者らと懇談をやり直しました。
(記者)「伊藤大臣が獅子島に到着しました、患者らを前に何を語るのか注目されます」
11日、長島町の獅子島で開かれた伊藤環境大臣と水俣病患者らとの懇談。冒頭、大臣の謝罪から始まりました。
(伊藤信太郎環境大臣)「意見交換の時にマイクの音量を切るという、とんでもないことをしたことに関して、改めて深くお詫び申し上げたい」
この問題は今年5月、伊藤大臣が水俣病の患者・被害者団体と懇談した際、環境省の職員が「発言時間を過ぎた」としてマイクの音量を絞ったものです。
これを受けて伊藤大臣は、今月8日から熊本県水俣市などで懇談をやり直しています。
11日の懇談には、獅子島の被害者の会の滝下秀喜会長ら13人と支援者が出席し、発言時間を制限しない形で1時半あまり行われました。
(獅子島在住の水俣病患者)「今でも左足からしびれている、2年後には歩けないかも」
「獅子島では漁業を中心として生計をたてるほかありません、漁業者はできるだけこらえないと魚が売れなくなってしまう」
患者らは環境省に▼離島での療養支援の見直し▼島外の医療機関を受診する時に給付される月1000円の手当の拡充▼公害問題の教育の充実などを環境省に求めました。
しかし、患者らの要望に対し、環境省の回答の多くは「検討」という表現にとどまりました。
(環境省職員)「現在の実態をうかがい見直しも含め考える」「環境省として受けとめる」「どのような対応が可能か検討していく」
(水俣病被害者獅子島の会 滝下秀喜会長)「期待した回答にはほど遠いという印象。今後どのようにするか、言われたことができるか私たちは期待していいのか」
(伊藤環境大臣)「基本的にみなさんが要望したことができるように、環境省が動くよう全部指示している。ご安心をというか、全力を挙げ前進させるためにやってまいりたい」
1977年の石原慎太郎環境庁長官以来となる獅子島への訪問。認定患者として父親が前回の訪問に立ち会った、島の被害者の会の滝下会長は…。
(水俣病被害者獅子島の会 滝下秀喜会長)「解決にむけてはまだまだ難しい遠い印象をうけた、一歩一歩進むということで嘘偽りがないと信じ、環境省との話し合いなどやっていきたい」
獅子島の患者の思いは環境省に伝わったのか?滝下会長は今後も国に支援強化などを求めていきたいとしています。