「逮捕しろ!」奈良公園の鹿を“観光客”が蹴り飛ばす暴行動画、文化財保護法違反で実刑判決も

保護活動を行っている「奈良の鹿愛護会」によると3年連続の増加、5年ぶりに1300頭台の大台に乗ったという奈良県・奈良公園に生息する鹿。
日本有数の観光名所として外国人観光客も多く訪れる同公園だが、信じられない光景が収められた動画がネット上で拡散されている。
7月21日にYouTubeに投稿されたのは、鹿せんべいを与えたり、その様子をスマホで撮り合ったりと、公園内の鹿との触れ合いを楽しむ国内外の観光客らの姿。
撮影された時期は不明だが、人慣れした鹿は警戒することなく、むしろせんべいを求めては人に群がる見慣れた光景に思える。ところが、そんなほのぼの動画がスタートしてから4分半、“信じられない光景”が映し出された。
画面奥から、人混みをかき分けるように道の真ん中をズカズカと歩いてくる若い男性。ジーンズに白いTシャツ、スマホとマスクを左手に握った軽装の男性は、まず目の前の鹿を追い払うように右手で叩く。さらに鹿を背後から右足で蹴り、逃げる後を追うようにもう一発蹴り上げた。
“暴行”の瞬間を目撃して唖然とする周囲を振り返ることなく、今度は別の鹿の頭部をまた叩いて無言で去っていく男性。これ以前の男性自身に何か起きていたのか、その表情からはイライラした様子が伺えた。
八つ当たりしてるように見えた
動画コメント欄には、男性の身勝手な行動に対して、
《イキってるのか知らんけど、めちゃくちゃダサいし、恥ずかしいって分からないんやろなぁ。捕まらないと気づけないんでしょうね笑》
《本当に気分が悪くなった。何か嫌な事でもあったのか?腹いせに八つ当たりしてるように見えた。》
“八つ当たり”にも思える様子に、非難の声が上がると同時に、
《奈良のシカは天然記念物だから重罪ですよ》
《警察は逮捕しろ!》
奈良公園の鹿に暴行を加えることは“罪に問われる”との指摘も。
鹿を死なせて懲役6か月の実刑判決
2021年3月、奈良公園で鹿を刃物で叩いて死なせたとして20代の男性が、文化財保護法違反などの罪に問われ、懲役10月、執行猶予3年が言い渡されている。
また2010年にも同じく、鹿に矢を放って死なせた40代男性が文化財保護法違反で、懲役6か月の実刑判決を受けている。奈良公園の鹿は国の天然記念物に指定されているだけに、殺傷などの危害を加えた場合は最高刑・懲役5年の刑に処されることも。
ただ問題となった動画には、この男性と関連づけるような特定国がタイトルに記されているものの、実際の国籍は不明。コメント欄では、鹿を蹴る際に「邪魔や、どけ」と日本語を話している、との指摘も見受けられる。
いずれにしても、本人は気分を害して働いた愚行だったのかもしれないが、それ以上に周囲の観光客に不快な思いをさせたことを知るべきだろう。

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