「間接的な殺人行為」能登半島地震で“虚偽の救助要請”男がSNSに書き込んだ卑劣なウソ

2024年の元日に北陸地方を襲った能登半島地震。特に被害の大きかった石川県では、半年が経過した現在でも、倒壊したまま手付かずになった家屋が存在している。
山間部の道路が寸断されたことによる支援物資の遅れや断水、高齢化のによる人手不足など、さまざまな課題が浮き彫りとなった。SNSでも、個人での支援に対する情報が錯綜したり、いわゆるフェイクニュースが飛び交ったりと、大きな混乱が生じていたのは記憶に新しいだろう。
「大勢からの反応が欲しかった」
そんななか、能登半島地震で象徴的ともいえる事件の犯人として、7月24日にある男性が逮捕されたという。
「埼玉県八潮市の会社員である金丸凌大容疑者が、偽計業務妨害の疑いで石川県警に逮捕されました。金丸容疑者は今年1月1日の午後7時ごろ、地震の被災者を装って“輪島市内で倒壊した家屋に挟まれた家族が救助を求めている”といった嘘の内容をXに投稿した疑いがもたれています。
翌日、投稿に記載された住所に石川県警の機動隊が向かったところ、家屋の倒壊はなく、住民も無事だったとのことです。調べに対し容疑を認めており、『大勢からの反応が欲しかった』と供述しています」(全国紙記者)
能登半島地震発生当時、SNS上には同様の投稿が相次ぎ、センセーショナルな内容も相まって大きく拡散される現象が起きていた。しかし、その中には虚偽の情報も数多く存在し、投稿を見た人々が通報することもあったという。
「震災直後、地元消防や警察には大量の虚偽通報がありました。SNSの噂を信じた人による“善意”の救助要請でした。中には存在しない住所も多く、ただでさえ人手が足りない中で業務が阻害されてしまい、ついには岸田首相が注意喚起する事態にまで発展しました」(地元紙記者)
ただでさえ、震災直後は街がパニックに陥っていた。混乱を拡大させた責任は重大だと言える。
「生き埋めになって助けが間に合わなかった人がたくさんいますよ。あの時は本当に時間との闘いだった。嘘の通報がなければ助かった命もあったはずだと思うと、絶対に許せない」(輪島市の60代男性)
SNSでは容疑者による犯行を《間接的な「殺人」行為といっても過言ではない》と糾弾する声も見受けられた。
《旦那が足を挟まれて出られません》
『週刊女性PRIME』は金丸容疑者とされるXのアカウント情報を入手した。このアカウントでは1月1日の午後7時ごろから複数回、実在する住所とともに《旦那が足を挟まれて出られません》という投稿があり、それぞれ数千件以上のいいねがついている。
もっとも拡散された投稿では、7万件以上のリポストに11万件以上のいいねがついていた。閲覧数を示すインプレッション数は3800万回以上。当時は数多くのユーザーがこの投稿を信じて拡散したことが伺える。
「今回の件はあくまで氷山の一角。他にも虚偽の投稿を行ったユーザーは多数いますが、逮捕に踏み切るハードルは高いでしょう。投稿内容そのものを規制することも困難を極めます。大地震発生時の新たな課題が浮き彫りになりましたが、ひとりひとりのユーザーの情報リテラシーに頼らざるを得ないのではないでしょうか」(前出・全国紙記者)
この先、地震大国日本では都市部に甚大な被害をもたらす大地震が予想されている。二度とこのような事件が起きないことを願うばかりだ。

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