「ポスト岸田」窮地の上川外相…米兵事件巡り与野党批判「女性首相の目はない」

岸田文雄首相が解散を表明した派閥出身で「ポスト岸田」の有力候補とされる上川陽子外相が窮地に立たされている。日米両政府が1997年に合意した在日米軍による事件・事故の通報手続きについて「詳細は把握していなかった」と認めた発言が波紋を呼んでいるからだ。上川氏は迅速に報告を受けたと説明しており、通報を適切に指示できなかった可能性が浮上。野党は辞任要求を突きつけ、与党内からも「初の女性首相の目はない」と突き放す声が上がる。
97年合意では米軍絡みの事件・事故は米軍→外務省→防衛省→県や市町村へと速やかに通報して情報共有を図ることを定める。在沖縄米兵による性的暴行事件を扱った30日の参院外交防衛委員会の閉会中審査で、情報共有ルートは「詳細を把握していなかった」と明かした上川氏は「問題になった段階でフレームワークの流れを把握した」と釈明に追われた。
野党は「監督責任を果たせず外相の資格がない」(立憲民主党の小西洋之氏)と辞任を直接要求。同委員会の委員である立民の水野素子氏(参院神奈川選挙区)は同日、相模原市の街頭演説で「上川氏は与野党議員の追及を逃げて、全く反省や改善の空気はなかった」と外相の資質を問うた。
与党からも説明責任を果たさない姿勢に疑問の声が漏れる。上川氏は同日の衆院安全保障委員会の閉会中審査で「非公表の事案との捜査当局の判断を踏まえ、事務方で対応し、防衛省に情報を提供しなかった」と釈明。これに「大臣として重要な手続きを把握しないだけでなく、自ら判断すら下せないのか」(自民の中堅議員)と不満が高まる。

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