元落語芸術協会会長の桂米丸(かつら・よねまる、本名・須川勇=すがわ・いさむ)さんが1日、老衰のため東京都内の病院で死去した。99歳だった。告別式は近親者で済ませた。喪主は長女の倉田信子さん、次女の平井いずみさん。
横浜市出身。1946年に20歳で、五代目古今亭今輔に入門。わずか3年で四代目桂米丸を襲名して真打ちに昇進した。「電車風景」「食堂風景」など生活スケッチ的な落語のほか、オチが複数ある「ジョーズのキャー」、夢を録画する機械が登場する「夢録」などの新作を量産。近年も「ドローン出前」を発表するなど晩年まで創作意欲は衰えなかった。桂歌丸さん(2018年死去)、桂米助さんら多くの弟子も育てた。
1976年から23年間、落語芸術協会会長。92年に紫綬褒章、98年に旭日小綬章。2019年9月の新宿末広亭が寄席での最後の高座となった。
落語界からは、柔軟な発想で数々の新作を手がけた最長老の功績をたたえる声があがった。弟子の桂米助さんはSNSに「高校卒業後すぐに内弟子として弟子入りさせてもらい、57年もの長きに渡って面倒をみてくれました。僕は父親がいなかったものですから、米丸は本当に父親のような存在でもありました」とつづった。
現・落語芸術協会会長の春風亭昇太さんは「長きにわたり高座を務められた99年間の立派な人生に尊敬と感謝を込めてご 冥福 をお祈りいたします」とのコメントを発表した。