松井一実市長と湯崎英彦知事は6日、平和記念式典で平和宣言とあいさつを読み上げた。それぞれ特定国を批判はしなかったが、世界情勢に懸念を示した。
同市はロシアと同盟国ベラルーシを招致しなかったが、イスラエルを招致。パレスチナ自治区ガザ地区への侵攻で約4万人の死者が出ていることなどから、市の対応に批判が出ていた。イスラエル駐日大使も見守る中、松井市長は「ロシアによるウクライナ侵攻」や「イスラエル・パレスチナ情勢」について「罪もない多くの人々の命や日常生活が奪われている」と憂慮した。湯崎知事も「現代では、男も女も子供も老人も銃弾で撃ち抜かれ、あるいはミサイルで粉々にされる」と述べた。
ロシアは2022年2月にウクライナ侵攻を開始。国際司法裁判所(ICJ)は同年3月、軍事行動の即時停止を命じたが、ロシアは従っていない。さらにICJは今年7月、イスラエルによる一部のパレスチナ自治区の占領は国際法違反と勧告的意見を出した。湯崎知事は国名こそ出さなかったが「世界の秩序の守護者たるべき大国が、公然と国際法違反の侵攻や力による現状変更を試みる」と断じた。【矢追健介】