百条委による職員アンケに記載
兵庫県の斎藤元彦知事が内部告発された問題を受け、県議会の百条委員会が実施した職員アンケートの中間報告に、斎藤知事がカニやカキなど、複数の贈答品を受領したとの新たな疑惑が記載されていることがわかった。一方、社会通念上理解される範囲内として擁護する意見もあった。
アンケートは7月31日~8月14日、職員約9700人を対象に実施した。中間報告では、5日午前9時までの回答(4568人分)を集計。斎藤知事が贈答品を受け取っているとの疑惑について、見聞きした人の合計が20・7%(946人)だった。
アンケートの自由記述欄では、前県西播磨県民局長の男性職員(7月に死亡)が3月中旬に報道機関などへ送付した告発文書で示された以外の、新たな疑惑が記載されていた。
多かったのが、県北部の但馬地方で、カニを受領したとの内容だ。「出張した際、手土産として用意されたカニを随行職員が断ったにもかかわらず、斎藤知事が他の職員の分も含めて持ち帰ったと聞いた」などの記述が複数あった。このうち1人は「現場にいた人から聞いた。人の分まで持ち帰るのはいかがなものか」と疑問を呈した。
県北部への出張については昨年、知事が希望しているとして、旅費の規定を超える城崎温泉の高級旅館が手配され、実際に知事が宿泊したとの記載があった。
他にも、▽養殖業者からカキをもらった際、独り占めして全部自宅に運ばせると聞いた▽スポーツメーカーと面談した際、メーカーが新たに開発したシューズについて、「その靴欲しいです。白い靴が欲しいです」などと発言した面談記録を読んだことがある▽皮革工場を視察した際に、高級な革ジャンを所望したが断られたと聞いた――などの情報が寄せられた。
知事の贈答品の受領については、「社交儀礼レベルを超えていたのでは」など、厳しい意見が相次いだ。
「社会通念上の範囲なら」擁護の意見も
一方で、「地元産品をPRすることは他自治体でもある」「高価ではない特産品、手土産であれば、知事以外も含め、社会通念上の範囲で受け取っている事例は多くあると思われる」など、斎藤知事を擁護する意見も複数あった。
斎藤知事はこれまで、男性職員が告発文書で指摘した贈答品の疑惑について、「個人的な受領はない」と否定している。
今年7月には、県西部の上郡町の職員から2022年11月に特産のワイン2本が届けられたことが判明。斎藤知事は記者団に受領を認めた上で、「私が飲ませていただき、素晴らしさをPRするのは県の産業政策としてやるべきだ」と述べ、問題ないとの認識を示した。