非常に強い台風10号は28日午後、鹿児島県・屋久島の南西海上を北上し、九州南部は大荒れとなった。気象庁は午後1時、鹿児島県(奄美地方を除く)に暴風と波浪の特別警報を発表し、午後4時20分には同県の一部に高潮の特別警報も出した。同県と宮崎県では大雨の特別警報を発表する可能性もある。
高潮特別警報の対象は、鹿児島県いちき串木野市と阿久根市、薩摩川内市、長島町。
気象庁は28日午後7時37分、発達した雨雲が連なる線状降水帯が鹿児島県で発生したとの情報を発表した。同県三島村には5段階の警戒レベルで最も高い緊急安全確保が発令され、鹿児島市など多くの市町村で避難指示が出された。
気象庁の杉本悟史予報課長は記者会見し、「経験したことのないような暴風、高波、高潮、記録的な大雨の恐れがある。直ちに避難の判断をし、身の安全を確保してほしい」と呼び掛けた。
宮崎市では28日午後2時ごろ、10号の影響とみられる突風が発生。市によると、車が横転するなどして男女7人がけがをした。
10号は29日に九州に上陸し、31日にかけて西日本の陸上か四国・紀伊半島沖を東へ進むと予想される。線状降水帯が奄美地方では29日午前まで、九州全県と山口県では29日夜まで発生する可能性がある。四国のうち徳島、愛媛、高知3県は29日午前から夜まで発生する恐れがある。
10号は28日午後9時、屋久島の北西約40キロの海上を時速10キロで北へ進んだ。中心気圧は935ヘクトパスカル、最大風速50メートル、最大瞬間風速70メートル。半径110キロ以内が風速25メートル以上の暴風域、東側390キロ以内と西側280キロ以内が風速15メートル以上の強風域。
鹿児島県屋久島町では午後8時5分ごろに最大瞬間風速46.8メートルを観測。宮崎県えびの市では午後9時20分までの24時間雨量が306.5ミリに上った。
29日に予想される最大瞬間風速は九州南部70メートル、九州北部と奄美60メートル、四国35メートル、中国30メートル。
29日午後6時までの24時間予想雨量は多い所で、九州南部600ミリ、九州北部400ミリ、東海と四国300ミリ、近畿と奄美150ミリ。その後、30日午後6時までの同雨量は、九州北部・南部と四国400ミリ、東海300ミリ、近畿200ミリ、中国150ミリ。
[時事通信社]