台風10号は29日朝、鹿児島県薩摩川内市付近に上陸した。九州各地で記録的な大雨となり、西・東日本の太平洋側も大雨に見舞われた。読売新聞のまとめでは、29日午後8時現在、土砂崩れなどで4人が死亡したほか、九州を中心に計90人が突風などで重軽傷を負った。気象庁は大雨や暴風への厳重な警戒を呼びかけている。
同庁によると、29日の72時間降水量の最大値(午後6時時点)は大分県佐伯市剣崎で597ミリに達するなど、大分、静岡の計5地点で観測史上最大となった。
愛知県蒲郡市で27日夜に起きた土砂崩れでは、巻き込まれた家族5人が29日未明までに発見されたが、3人が死亡した。
徳島県上板町では29日夕、2階建ての民家の屋根が崩れ、住人の80歳代の男性が落下物に挟まれた。男性は病院に搬送されたが、死亡が確認された。
鹿児島市沖では28日夜、風にあおられて小型船が転覆し、船長(64)が行方不明になった。29日午後、近くで船長とみられる男性が見つかり、死亡が確認された。
台風は上陸後、勢力が弱まり、29日午後11時時点の中心気圧は990ヘクト・パスカル、最大風速は30メートル。熊本県玉名市付近をゆっくりと北北東へ進んでおり、30日に九州を横断して東へと進む見通し。30日午後6時までに予想される24時間降水量は、四国400ミリ、東海と九州北部300ミリ。