岸田首相が残す「原発再稼働」という負のレガシー…任期終了まで“延命”を政策で後押し

岸田首相の総裁任期満了まで、30日で残り1カ月。「任期終了まで国内外の課題への対応に全力を尽くす」と鼻息荒いが、「負のレガシー」を残してもらっては困る。原発の再稼働をめぐる問題だ。
原子力規制委員会は28日、日本原子力発電(原電)の敦賀原発2号機(福井県)について、新規制基準に不適合とする審査書案を了承。29日から約1カ月間、パブリックコメントを実施した上で正式に決定する。
原電は再申請を目指す考えだが、先は見通せない。
「敦賀2号機の審査は2015年から9年に及び、原電側のデータ書き換えや資料の不備などで2度中断しました。そもそも、不正に手を染めた会社に原発の運転を任せられるでしょうか。原電は東海第2原発でも安全対策工事の不備が判明しています。保有する原発を稼働できていない原電は現状、電力大手5社が基本料金などを払って支援しています。再申請をしても再稼働は絶望的で、再審査の判断までどれだけの期間を要するか分からない中、いつまで延命させるつもりなのでしょう」(「原子力規制を監視する市民の会」代表・阪上武氏)
■原発再稼働に前のめり
それでも岸田首相は原発再稼働に前のめりだ。27日の「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」で、運転停止中の東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)を念頭に「残された任期の間に、GXを一歩でも前進するため尽力する」「そのひとつが、東日本における原子力発電の再稼働の準備」などと強調。地元の理解を得るため、来週に原子力関係閣僚会議を開催すると決めた。
政府の地震調査委員会が今月2日に発表した海域活断層の評価を受け、規制委が電力会社に地震や津波の原発への影響を確認するよう指示したばかりだ。
「原発は『安価』『脱炭素』と言われますが、本当でしょうか。事故が起きれば環境負荷は極めて重く、地震などの災害や運営する会社の能力の劣化によって事故リスクは高まっています。消費者の払った料金が、いつ動くか分からない原発の延命に使われているのに、それを政策として後押しすることに疑問を抱かざるを得ません」(阪上武氏)
GXにせよ原発再稼働にせよ、岸田首相がレガシーづくりで自己満足を得るための道具ではない。
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