「俺は知事だぞ」発言を否定 個室用意は当然との認識示す 兵庫県議会百条委証人尋問詳報(4)

《兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑を調査する30日の県議会調査特別委員会(百条委員会)は、第4会派のひょうご県民連合に続き、共産党会派や無所属議員が質問に立った》
《共産の委員は、斎藤氏が閉店時間を過ぎた喫茶店で知事の権威をかさに着てクレームを付けたとされる「俺は知事だぞ」発言の疑惑について質問。「知事だからこそ迷惑をかけてはいけない」と指摘した》
委員「県民会館の喫茶室で、(閉店)時間を過ぎているので出て行ってくださいと言われたときに『知事なのになんで出ていかなくちゃいけないんだ』とおっしゃった」 斎藤氏「言っていません。スタッフの方が大きい声で早く出て行ってくださいと言われたのでびっくりして『兵庫県知事です』と名乗った」
《無所属の委員は、問題の発端となった3月27日の記者会見について質問。会見で斎藤氏が述べた内容には虚偽が含まれていたと指摘した》
委員「県民局長解任会見時のパワハラ発言の一部を紹介する。『本人も認めていますが、事実無根の内容を職務中に~県民局長としてふさわしくない行為をした』と。本人も認めているというが、県民局長はふさわしくない行為と認めていない」
事実無根の内容を告発者本人も認めたと受け取れる発言。委員の指摘は、斎藤氏によるミスリードではないかとの趣旨とみられるが、斎藤氏はその点には正面から答えない
斎藤氏「事実と異なる内容の文書だと私は認識した。県民局長は文書の作成流布したことを認めていた。勤務時間中に公用パソコンを使って作成したので申し上げた」
委員「八百発言もそうだが、職員に精神的苦痛を与えることになる。(会見という場であり)知事の発言はマスコミを利用したパワハラではないか」
斎藤氏「いろんな評価があり難しいが、事実ではないことがたくさん含まれている文書を、実名含めてたくさん流布されたので、それを勤務時間中に作成したことは職員として好ましくない行為だったという趣旨で伝えた」
委員「何日に誰と県民局長の退職取り消しと人事異動を決めたのか」
斎藤氏「(3月)25日に聴取をされて、文書を作成したと確認できるデータが見つかった。(ほかにも)パソコンのデスク上からそれ以外の不正アクセスとか、文書の作成などの4つの非違行為が確認できたので退職の保留、総務部付の人事異動をすることを片山副知事などから26日に報告があった」
委員「そもそも本人が事実を認めていないと処分できない。処分に対する決裁規定違反。処分を急ぐがあまり、ずさんで拙速なものになった組織的なパワハラになった可能性がある」
斎藤氏「(最初に会見した)3月27日は懲戒処分ではない。退職の保留と人事の異動。必要な手続きはちゃんとやってきた」
再び自民会派の議員らが質問。斎藤氏は謝罪の言葉を述べる場面もあったものの、最後まで一貫してパワハラを認めなかった》
委員「令和4年、更衣室が県民と共用だったことで(職員を)叱責。そして違う部屋で着替えたのは事実か」
斎藤氏「スポーツイベントに参加するため着替えないといけなかった。更衣室に知らない男性がいてびっくりした。事前にちゃんと確認して更衣室を用意しておくべきだったのではないかということを注意した」
委員「別の部屋で着替えたか」
斎藤氏「多分そうだと思う。セキュリティーの関係で着替えるところに知らない人がいるということは望ましくないので別の部屋を用意させていただいた」
委員「セキュリティー上なんの問題があるのか」
斎藤氏「どうしてもやむを得ない場合は一般の人と着替える。公務で知事が着替えましょうというときは、基本的には個室を用意しておくということは普通に考えて、知事の安全面とか、物を置いておくときのセキュリティー、要は貴重品を置いておくケースもありますから、打ち合わせするケースもありますから。そこはちゃんと用意しておくのは大事なことだと思う」
《職員アンケートの記述などでは、斎藤氏が目の前でエレベーターが閉まった際、そばにいた職員に「お前はエレベーターのボタンも押せないのか」と激高したとされる。委員は、斎藤氏がエレベーターのドアを開けておく係を置いているかの有無を確認》
委員「エレベーターのドアを開けておく係を配置した。事実か」
斎藤氏「何のことか分からない。記憶にない」
委員「エレベーターを知事がすぐ使える状態になっていない場合、(職員を)注意したことは一度でもあるか」
斎藤氏「そこはちょっと記憶がないです。もちろんゼロじゃないとは思いますが、注意をしたことがあるか、私は正直全く覚えていない」
委員「エレベーターはそもそも多くの人が使う。知事は(自分が)特別に扱われるべきだと考えているか」
斎藤氏「思っていない」
《県内の小学生らへの配布物に、前知事の名前が入っているという理由ですべて差し替えたとの疑惑にも触れる》
委員「小学校1年生に配る博物館に無料で行ける『こころんカード』。過去に配布したカードが斎藤知事の名前がないことを理由として、中学校3年生の分まで9学年すべて入れ替えれたのは事実か」
斎藤氏「そうですね。差し替えを指摘した」
委員「知事の名前が入っていることに事業効果のメリットがあるのか」
斎藤氏「今の知事の名前で使っていただくのがいいというか、まあそういうふうにすべきだと思う」
《委員は斎藤氏の受け答えなどについて、追及を強める
委員「知事は『私の認識では』とおっしゃる。(指摘された部分の事実関係に)一部欠けている部分があると、大筋で事実でも非を認めない。(アンケートには)県政の進め方そのものに対する批判や基本的な運営姿勢を疑問視する回答が非常に多い。これらの職員の意見に対して、社会通念上、職員は(斎藤氏の要求を)我慢すべき範疇(はんちゅう)という見解と解釈していいか」
斎藤氏「なんて答えていいか分からない。(パワハラを見聞きした回答者の)4割近くの方がいろんな指摘をされたことは真摯に受け止めることが大事。自分の襟を正していきたい」
《最後にひょうご県民連合の委員が質問に立つ。令和3年9月、職員2人を呼び出し、机をたたいて叱責。その行為をパワハラと認識するかをただした》
斎藤氏「一度やった記憶があります。就任直後だったので」
委員「どう考えてもパワハラに該当する。認めるか」
斎藤氏「適切ではなかったと思う。これから(知事として)やっていこうという矢先で思わずやってしまった。いろんな事情があるとはいえ、不適切な行為だったことは確かです。パワハラに該当するかは委員会で認定していただければいいと思う」
=おわり

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