台風10号は1日昼前、東海地方の南海上で熱帯低気圧に変わった。読売新聞の同日午後6時までのまとめでは、福岡県で新たに1人の死亡が確認され、死者は7人、行方不明者は1人、負傷者は計129人に上った。西日本から東日本では記録的な大雨で土砂災害の危険が高まっており、気象庁は引き続き警戒を呼びかけている。
8月22日未明に太平洋・マリアナ諸島付近で発生した台風10号は複雑な動きを見せた。当初は北西に進み、四国の南で進路を北東に変え、関東から近畿に上陸するとみられていた。
しかし、日本の東側にある太平洋高気圧の張り出しが強く、西側に押されたほか、台風の西側にできた「寒冷渦」に引き寄せられ、予想より西寄りの進路を取った。
台風が進んだ日本の南の海面水温は今夏、熱帯並みの高温になっており、海から大量の水蒸気の供給を受けて勢力を強め、「最強に近いクラス」に発達。29日朝、鹿児島県に上陸した。
台風本体の発達した雨雲は、九州を中心に大雨をもたらした。台風から離れた関東や東海地方などでも記録的な豪雨になった。
日本周辺を西から東に流れる強い偏西風は今夏、平年より北寄りの場所で吹いていたと指摘される。台風は偏西風には乗らず、ゆっくりとした速度で九州から四国を横断したため、影響が長引いた。
気象庁によると、台風が日本に近づいた8月27日から1日午前11時までの降水量は、静岡県伊豆市942ミリ(8月1か月分の降水量平年値の2・3倍)、宮崎県えびの市911ミリ(同1・6倍)に達した。8月28日から31日にかけて、鹿児島、宮崎、大分、香川、徳島、兵庫、三重の7県では線状降水帯が発生し、大雨に見舞われた。
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台風の影響で運休していた東海道新幹線は1日午後6時頃に東京―新大阪間の全線で運転を再開。2日の始発からは通常通り運行する。盛り土が崩れたため一部区間で運転を見合わせていた小田急小田原線は1日午後4時頃、全線で運転を再開した。