岸田文雄首相は、4日に自民党の茂木敏充幹事長が総裁選出馬を正式表明するのを踏まえ、幹事長権限を総裁である自身に移行する方向で調整に入った。党の資金配分などで絶大な影響力を持つため、幹事長権限を持ったまま立候補すれば、公平性の観点から疑義が生じかねないと判断した。関係者が3日、明らかにした。茂木氏が4日の会見で説明する見通しだ。
関係者によると、茂木氏は出馬に先立ち、幹事長権限を別の幹部に委嘱したいとの意向を首相に伝えた。麻生太郎副総裁や森山裕総務会長に移行する案も出ていたが、総裁選を巡る支援事情や公平性などの観点から調整が難航。不出馬を決めた首相自らが案件ごとに各執行部に振り分ける方向となった。
党内規では幹事長権限を移す規定はなく、首相が判断するとされる。2008年9月には、幹事長だった麻生氏が立候補表明に先立つ党の緊急役員会で、細田博之幹事長代理に職務を委嘱した。
自民では総裁が首相を兼ねることが多く、幹事長が総裁に代わり党運営を取り仕切る。