自民党総裁選(12日告示、27日投開票)に立候補を表明している石破茂元幹事長が6日、都内の日本外国特派員協会で会見し、日本を取り巻く危機的状況を訴えた。
冒頭、多くの外国人記者を前に「テレビで見るよりは怖くない石破茂です」とお約束のあいさつから入った石破氏だが、総裁選で掲げる政策や日本の将来については、悲壮感を漂わせながら取り組まなければならない重要な課題を列挙していった。
防衛通で知られるだけに「ロシアがウクライナに戦争を仕掛けることを予測できなかった。その戦争はいまなお終わらない。今日のウクライナは明日の北東アジア。なぜウクライナにおいて、抑止力が働かなかったのか。わが国の問題として、広く検証しなければいけなかった。きちんと問題に対処するのは私の責任」と自戒を込めた。
また能登半島地震で、被災者が体育館や公民館などの避難所で長く共同生活を強いられた状況に「災害に対する対応、体制は決して十分ではない。101年前の関東大震災と何も変わっていない。先進国では日本だけ。イタリアではトイレ、キッチンカー、ベッドが48時間以内に被災地にやってくることが法律で義務付けられている」と防災省の設立を強く訴えた。
さらにはシェルターの整備も進んでいないとして、東京大空襲の悲惨な状況を振り返り、「80年前と全く変わっていない。国民を守る体制を確立します」と力を込めた。
経済や少子化問題についても「1993年に日本の国際競争力は世界で一番だったが、いまや38位に下がった。日本経済の凋落は明らか。人口減少で、将来は不安、欲しいものがないのではその国の経済は発展しない。一部の人々、企業だけが豊かになる経済は間違っている。これから30年間、人口減少は止まらないが、30年後には再び人口が増える日本を取り戻さなければならない」と挽回の余地はあるとした。
さらには地球温暖化で、「この調子で氷が溶ければ、何億年前のウイルスがこの世に出てくることもある。温暖化を防ぐためにはあらゆる努力を積み重ねていく必要がある」などと危機を訴えたうえで、「私の政治生活は挫折と失敗の繰り返しだった。これを次の世代に繰り返させてはならない。そのために全力を尽くすことが私の使命」と石破氏は力を込めた。