「飛鳥・藤原の宮都」を26年の世界文化遺産国内候補に決定…日本の古代国家形成の過程示す

文化庁の文化審議会世界文化遺産部会は9日、2026年の国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)世界文化遺産登録を目指す国内候補を「飛鳥・藤原の宮都」(奈良県橿原市、桜井市、明日香村)に決定した。政府は来年1月31日までに、正式な推薦書をユネスコに提出する。
「飛鳥・藤原」は、東アジアとの交流を通じて日本の古代国家が形成された過程を示す遺産で、6世紀末~8世紀初めの宮殿跡や寺院跡など計22件で構成される。飛鳥時代に4代の天皇が政治や儀式を行った「飛鳥宮跡」、中国の都城を模範とした「藤原宮跡」、「飛鳥美人」の壁画で知られる「高松塚古墳」、巨石を用いた石室が見られる「石舞台古墳」などが含まれる。
部会では「中国大陸や朝鮮半島との緊密な交流のもと、日本で中央集権国家が誕生した過程を示す唯一無二の資産」と価値が認められた。部会長の菱田哲郎・京都府立大教授は記者会見で「考古学の成果を十分に生かした事例。世界の中でも国家の形成過程を示す見本になる」と語った。
「飛鳥・藤原」は昨年の文化審議会で「保護が十分ではない」と指摘され、推薦が見送られた。各自治体は史跡の追加指定などに取り組み、今年4月に4度目となる推薦書の素案を文化庁に提出していた。

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