JR貨物の車輪と車軸の取り付け作業でデータ改ざんなどが行われた問題で、新たに300両の貨車に不正の疑いがあることが判明し、同社は11日、一時すべての貨物列車の運行を停止した。同日中に順次再開したが、安全管理を統括する役員が「これ以上増えない」と10日に明言した運行の停止は、1日足らずで564両から一時7000両を超える規模に拡大した。
国土交通省は11日、不正のあった▽輪西(北海道室蘭市、不正貨車309両)▽川崎(神奈川県、同218両)▽広島(広島県、同33両・機関車4両)――の3車両所に立ち入り、鉄道事業法に基づく特別保安監査を始めた。従業員からの聞き取りなどで実態を解明するほか、複数の現場で不正が繰り返された背景を調べ、同社への行政処分を検討する。
JR貨物によると、3車両所で計564両の不正に加え、11日になってさらに、川崎で291両、輪西で9両の貨車に不正の疑いが判明した。この300両を運行から切り離すため、全国を走る貨物列車を順次停止し、同日夕には全車両の運行が止まった。その後、安全の確認ができた貨物列車から順次運行を再開させた。
同社は10日夕、安全統括管理者の小暮一寿・取締役らが記者会見し、「使用中の車両では、(運行停止の)件数はこれ以上増えない」と明言していた。しかし、同日深夜に国交省の立ち入り検査に向けて準備する過程で、未確認の記録約8000枚が見つかったという。
国交省は不正疑いの追加判明と全貨物列車の一時停止について、「物流2024年問題への対応などが期待される貨物鉄道に対する信頼を損なうものだ」と指摘した。