滋賀県の琵琶湖で9日、びわこ成蹊スポーツ大学(大津市)の学生ら50人がカヤックで航行中に遭難したとの情報が広まり、その後に全員の無事が確認された事案について、大学は11日、「カヤック活動において集団がのびすぎ分散してしまった結果、一時、参加者たちの安否が完全には掌握できない事態が発生した」と明らかにした。
滋賀県警が9日夜、「遭難事故のおそれがある事案」として広報文を発表。「学生ら約50人がカヤックで航行中に遭難し、約20人は自力で艇庫に戻ってきたが、詳細は不明」などとした。各メディアがインターネットなどで速報したが、その後全員の無事が確認された。
大学によると、カヤックを航行していたのはサッカー部の選手33人、学生スタッフ6人、監督・コーチ5人、カヤックの指導責任者と指導補助学生スタッフ6人の計50人。団結力やコミュニケーション力の向上を目的とした「チームビルディング研修」の一環だったという。
大津市北比良の大学艇庫と、約8キロ北東にある湖中の鳥居で有名な白髭神社を往復する計画で、50人は午後2時半ごろ、40艇(一部2人乗り)で出航。往路で予定より遅れる組もでたが、日没までには戻れると判断。5時ごろに白髭神社を出発したという。
ところが、風速3~4メートルほどの風とともに波が上がってきていることが確認されたため、5時50分ごろ、カヤック指導責任者が継続は難しいと判断。遅れているカヤックに対し、「日没と視界不良になる前に集団ごとに近くの湖岸へ上がり、連絡を待つように」と指示したという。
全員ライフジャケットを着用しており、けが人はなかったが、参加者の安否が完全には掌握できない事態となり、こうした状況を見ていた湖岸の住民が警察に通報したという。
間野義之学長は「多大なご心配とご迷惑をお掛けすることとなった」とおわび。「往路終了時に中止すべきだったが、かような判断ができなかったことが今般の事態発生の要因」とし、計画に無理がなかったかなどを検証し、安全性が担保されるまで琵琶湖でのカヤック活動は中止するとしている。