NHKのラジオ国際放送などの中国語ニュースで、中国籍の外部スタッフの男性が沖縄県・尖閣諸島について「中国の領土」などと発言した問題を巡り、総務省は11日、NHKに注意の行政指導をした。「自らの番組基準に抵触する放送が行われたことは、国際放送を担う公共放送としての使命に反するもので、誠に遺憾」と指摘し、これに関連する放送法の規定に抵触するとして、再発防止の徹底などを求めた。
NHK広報局はこれを受けて「再発防止策を確実に行い、国際放送に関するガバナンスを強化する」などとして改めて謝罪するコメントを発表した。
問題の発言があったのは、8月19日午後1時過ぎに生放送された中国語ニュース。原稿を読んでいた中国人スタッフの男性が、ニュース原稿にはない不適切な発言を計約27秒間続けた。
NHKが番組に関連して行政指導を受けるのは、2022年9月、NHKが21年に放送したBS番組「河瀬直美が見つめた東京五輪」で誤った字幕を付けた問題以来。
中国人スタッフの問題発言を巡り、NHKは今月10日に調査報告書などを公表。稲葉延雄会長は同日に謝罪記者会見をして「今回の事案は『放送の乗っ取り』とも言える事態」と述べ、担当理事の辞任や、会長ら役員の報酬の一部返納などを発表した。【諸隈美紗稀】