入学直後から悪口 クラス内のいじめも認定 居場所失うが上級生からも…旭川いじめ再調査報告書

3年前、北海道旭川市の公園で女子中学生の遺体が見つかった問題で、再調査委員会の報告書が13日に公表されました。
クラスで居場所を無くした生徒がさらなるいじめに苦しむようになった過程など、認定されたいじめの詳細が明らかになりました。
「いじめ被害が存在しなければ廣瀬爽彩の自殺は起こらなかった」
367ページにわたる再調査報告書は、ひとりの女子中学生が自ら命を絶った理由についてこう結論付けました。
旭川市の中学校に通っていた廣瀬爽彩さん。
2021年、市内で凍死した状態で発見されました。
運動会で元気によさこいを披露する女の子。
当時、小学4年生の廣瀬爽彩さんです。
2019年4月に中学校へ入学しましたが、直後から体の不調を訴え、学校に行きたがらないなど、様子が変わっていきました。
再調査報告書は廣瀬さんに対する7件のいじめを認定しています。
新たに認定されたのは「クラス内でのいじめ」です。
入学直後、クラスで悪口などのいじめを受けたといいます。
「先輩たちから離れられませんでした。何より何より1人が怖かったから」
クラスでの居場所を失った廣瀬さんは、上級生らのグループにつながりを求めるようになりました。
こうした中、上級生は廣瀬さんに対し、SNSなどを通じて性的な動画を要求。
廣瀬さんはこれを拒もうとします。
「動画とりたくない」「怖い」「動画が嫌なんです」
しかし、学校近くの公園で廣瀬さんを囲み性的な行為をさせるなど、いじめはエスカレート…
廣瀬さんは「もう死にます」と話して川に入り、中学校の教員に自ら電話していました。
「川です…死にたいです…もう生きたくない!」
廣瀬さんは別の学校に転校しましたが、引きこもりがちになります。
そして2年後の2021年冬。
「ねえ、きめた。今日死のうと思う」
廣瀬さんは知人にこう告げて消息を絶ち、翌月、公園の雪の中から凍死した状態で見つかりました。
廣瀬さんの死後、旭川市教育委員会はいじめの疑いがある「重大事態」として、第三者委員会による調査を開始しました。
しかし、第三者委員会の最終報告書では上級生らによるいじめが認定された一方、クラスでのいじめは認定されませんでした。
さらに、自殺の背景にいじめがあったか明言を避けたのです。
これに対し遺族側は反発。
「理解に苦しむ内容であるのみならず無責任とのそしりを免れない」
遺族側の訴えを受け再調査委員会が立ち上がり、13日にいじめと自殺の因果関係を認める報告書が公表されました。
認定結果が覆った決め手は、廣瀬さんがネット上に残したSOSでした。
インターネットのライブ配信で自ら相談した記録もー
(廣瀬爽彩さん)「いじめを受けていたんですけれど、そのいじめの内容が結構きつくて、自分のほうでなかなか納得がいかないというか処理できないという気持ちになってしまっていて」
いじめの記憶が自殺の要因となったとする今回の報告書。
公表を受け、旭川市の今津寛介市長はー
(今津寛介市長)「同じことが二度と繰り返されないよう、取り組みを進めていくことが、爽彩さんが生きてきた証になると思います」
廣瀬さんが受けた苦しみを記した今回の報告書。
遺族は「今後同じことが繰り返されないよう、そして同じような悩みを抱える方にも役立てていただきたい」とコメントしています。
再調査委員会は報告書で「いじめは廣瀬さんの自殺の主要な原因であった可能性が高い」と結論付けています。
再調査で認定された7件のいじめです。
このうち、クラス内でのいじめ2件が新たに認定されました。
クラス内で悪口やまねなどのいじめを受け、疎外感を感じていた廣瀬さんは、クラス外で上級生らとのつながりを求めるようになりました。
しかし、上級生らからも性的な画像や性的な行為を強要されるなどのいじめに苦しみ、自ら命を絶ちました。
同じ悲劇を生まないために、廣瀬さんのいじめ問題を教訓に、再発防止が求められています。
▲厚生労働省や自殺の防止活動に取り組む専門家などは、悩みを抱えていたら自分だけで解決しようとするのではなく、専門の相談員に話を聞いてもらうなどして欲しいとよびかけています。
●電話「こころの健康相談」0570-064-556
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