進次郎「人生いろいろ」作戦の勝算…総裁選演説会で“家族切り売り”実母との初面会を明かす

まさかの家族切り売りだ。自民党総裁選は12日告示を迎え、過去最多9人の候補が所見発表演説会にそろい踏み。とりわけ、異質だったのは小泉進次郎元環境相(43)のスピーチだ。突然、自身の生い立ちに言及。情感たっぷりに語った「人生いろいろ」作戦の裏には、アメリカナイズされた選挙戦術と父の成功体験が浮かび上がる。
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本命と目される進次郎は“4番バッター”として登壇した。「聖域なき規制改革」など父・純一郎元首相(82)譲りのフレーズで相変わらず「改革」を連呼。公約の説明はほぼ出馬会見の焼き直しだが、「クビ切り自由化」との批判を気にしてか、出馬会見で明言した解雇規制緩和に触れなかった。
そして改憲の意気込みを語った後だ。唐突に「私の大切にする包容力のある保守の精神」を持ち出すと「私自身がそんな人生を歩んできました」と切り出した。
幼い頃に両親が離婚。中2の時に母親と思っていた人が実は伯母だと告げられたこと。同時に姓の異なる弟の存在を知り、大学生になって初めて会ったなどと家族とのエピソードの叩き売り。それでも実母と会えない気持ちが続いたのは「母親代わりとして育ててくれた伯母を裏切ることになると思った」と明かした。
机上の原稿をチラチラ見ながら、持ち時間10分のうち約2分を身の上話に費やした進次郎。公の場で複雑な家庭環境を語るのは珍しい。自身も2児の親となって心境が変わり、今年初めて実母に会いに行き、「会って良かった」と訴えた目はうっすら涙で潤んでいた。
「43年間、会うことなく、名字も違う。それでも家族は家族。そんな人生を歩んできたから、誰もが自分らしい、一人一人の多様な人生に選択肢を広げる政治家として生きていく」と続け、進次郎は「人生いろいろ」を強調。素人女性が波乱に満ちた生涯を披露し、1曲熱唱していた昭和の「のど自慢」番組を思い出す。
「進次郎氏の陣営にはPR会社やメディア対策の専門家が入り、イメージ戦略を全面バックアップ。ネクタイの色からシンボルカラー、演説内容まで練り上げているようです。政策立案は支援する議員や官僚が担うのでしょうが、大衆受けを狙う『キャラ付け』や『ストーリー性』を考えるのはPR担当の役割だと思う」(自民党関係者)
■浪花節に秘めた米国流の印象操作
米大統領選のように、PRのプロが候補のブランディングを手がける。進次郎の浪花節演説から垣間見えたのは、米国流選挙の印象操作だ。
「代々続く政治家一族に育った悩める青年が親との確執を乗り越え、総理を目指す。紋切り型の展開はNHKの『ファミリーヒストリー』を見るような感じでしたが、しょせん空虚な実像を隠す脚色であり、粉飾です。作り物感が出すぎると『やりすぎ』と反感を買うし、今度の総裁選は15日間の長丁場。誰かに操られた“お人形さん”は、いずれ飽きられる運命です」(高千穂大教授・五野井郁夫氏=国際政治学)
父・純一郎は首相時代、年金未加入問題を国会で追及された際に「人生いろいろ、会社もいろいろ」とすっとぼけ、ウヤムヤに。小泉家には「人生いろいろ」作戦の成功体験があるとはいえ、今度ばかりは大向こうをうならせ、「感動した!」とはいくまい。

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