大阪府八尾市のし尿処理業務を行う環境施設課の職員2人が、労働組合への寄付金名目で同僚から金を脅し取った問題を巡り、市は12日、ともに同課技能長の兄(59)と弟(56)を懲戒免職処分とした。監督責任が不十分だったとして上司の元理事(63)は停職1か月とした。
市によると2人は、定年退職する職員に、退職手当から市現業労働組合環境衛生支部に寄付する名目で金銭を要求。職員12人から計約630万円を脅し取った。組合費のうち約2400万円の使途が不明で、その大部分を兄が私的流用したとみられるという。
昨年12月に府警が恐喝容疑で2人を逮捕。今年1月、被害者らとの示談成立などを理由に、不起訴(起訴猶予)となったという。
「現場を支配するような構図」明らかに
市は実態を調べるため、第三者委員会を設置。8月30日に公表した報告書からは、2人がし尿処理の現場を支配するような構図にあったことが明らかとなった。
報告書によると、2人は市のし尿処理業務を担う「八尾市清協公社」に勤務。2017年に業務が市に直営化されたのに伴い、環境施設課の職員となった。
報告書は、直営化後に市の事務職員が配属されたが、現場職員の発言力が強く、元理事も適切に管理監督していなかった、などと指摘。兄は環境衛生支部長、弟は同支部書記長で、職場での影響力が強かったことが事件の背景にあるとした。2人は、部下に土下座を強要するなどパワハラ行為もしていたという。
また、市立斎場の元技能長(懲戒免職)らが利用者の個人情報を葬儀商品販売業者に漏らし、現金を受け取ったとして加重収賄容疑で逮捕、起訴された問題で、市は環境部の作業長(56)を懲戒免職処分にするなどした。
二つの事件で11人を懲戒処分したことに伴い、大松桂右市長と植島康文副市長は、給料の10%を3か月減額する条例案を9月定例会に提案する。この日、記者会見を行った植島副市長は「市民に不信感を与えて申し訳ない。組織体質を改善して、信頼回復に取り組む」と陳謝した。