リニアのボーリング調査、静岡県が容認 JR東海に伝える

リニア中央新幹線の南アルプストンネル建設を巡り、静岡県は17日、事業者のJR東海に、県内でのボーリング調査を容認すると伝えた。川勝平太前知事が認めてこなかった調査の実施にめどがついたことで、リニア計画が前進する見通しになった。
リニアの路線では、県北部の南アルプスを8・9キロのトンネルが通る。建設には地質を調べるボーリング調査が不可欠だが、山梨から静岡方向に掘削する調査について、川勝氏は地下水が県外に流出するリスクがあるとして、静岡・山梨県境付近での調査実施に反対。JR東海は今年3月、目指してきた品川―名古屋間の2027年開業を断念していた。
しかし、5月の静岡県知事選でリニア推進を掲げた鈴木康友氏が初当選すると、状況は一変。県の専門部会は、地下水の流出リスクについてJR東海が十分に対策を施したとの見解を示した。6月には両県とJR東海の3者間で、山梨県内のボーリング調査を容認する内容で合意していた。
JR東海は9月10日、静岡県側の調査に向けて、水資源への影響が懸念される大井川の流域市町などでつくる利水関係協議会(利水協)の意向を確認するよう県に要請。県は利水協の了解が得られたとして、17日に調査の容認をJR東海に文書で伝えた。
鈴木知事は記者団に「調査を実施できることになって良かった」とした上で「リスク管理とトラブルの速やかな報告をお願いしたい」と注文。JR東海は「リスク管理を適切に行いながら、県境を越えてボーリング調査を実施する」とコメントした。【最上和喜】

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