新潟県五泉市内でサルやイノシシの目撃情報が相次いでいるとして、同市村松地区にある「今井観光栗園」は今年、40年以上続く秋の恒例イベント「栗拾い」を初めて中止した。対策には限界があるといい、栗園関係者を悩ませている。
同園は、約1万3000平方メートルの畑に、約200本の栗の木を栽培している。毎年9月中旬から約1か月間、観光客や地元の子どもたちの遠足などで栗拾いの客を受け入れ、週末には多くの家族連れなどでにぎわっていた。
市によると、今年4月から9月17日までに市内で確認されたサルの目撃などの件数は28件、イノシシは32件と平年並み。しかし、栗園によると、周辺では、昨年からサルやイノシシによる農作物への被害などが確認され、栗園でもサルが栗を食べた形跡があった。
同園は「実際にお客さんに被害が出てしまっては申し訳ない」と、栗拾いの中止を決めた。
五泉市は、サルやイノシシをよける電気柵を購入する際に補助金を出している。しかし、サルは園の近くにある木から跳んで栗園に侵入することができるため、電気柵を導入しても被害を完全に防ぐことが難しい。
同園は現在、園近くの直売所などで栗を販売しており、18日も客の姿が見られた。新潟市秋葉区、無職男性(70)は、「(栗拾いが)サルやイノシシが出て中止となったのは仕方がないが、さみしい」と話した。
同園の目黒美佐江さん(65)は、「現状は客の受け入れを中止するしか策がなく、先が見通せない。それでも、栗拾いを再開したいという気持ちはある」と話している。