孤立集落の住民ら、自衛隊ヘリで集団避難…土砂で寸断された道路に「地震の時よりひどい」

記録的な大雨に見舞われた石川県の能登半島北部では26日、道路の寸断で孤立していた集落の住民が自衛隊のヘリコプターなどで集団避難した。不明者の捜索はこの日も各地で行われ、2人と連絡が取れずにいる輪島市 久手川 地区では、消防や警察など400人態勢で河口付近を中心に捜索したが発見されなかった。(輪島支局 武山克彦、金沢支局 若松花実)
輪島市西保地区では26日午前、住民38人が自衛隊ヘリで空自輪島分屯基地へ向かった。住民らは5日間孤立し、看護師らが健康状態を確認した後、バスで避難先となる近くの中学校に向かった。
住民の男性(74)は「避難できてひと安心だが、道路は土砂でぐちゃぐちゃで地震の時よりひどい。いつ戻れるのか」と不安そうに話した。
同市門前町の 七浦 地区では、通行止めになっていた道路が復旧するなどし、住民の約4分の1にあたる80人が自家用車や市が用意したマイクロバスで避難した。
腰の悪い妻を金沢市の親類宅に送り出した男性(69)は「水が出ないとどうしようもない。自分は自主避難所の手伝いをしているので残るが、妻がここにいるのは大変なので避難させた」と話した。
県などによると、集落の孤立は能登町で解消され、輪島市と珠洲市の3地区4か所(42人)に減少した。これまでに10人の死亡が確認され、ほかに輪島市の海岸で1人の遺体が見つかっている。行方不明者は珠洲市と能登町の計2人、所在が分からず、連絡が取れない安否不明者は輪島市で4人いる。

輪島市は26日、大雨で床上浸水した応急仮設住宅について、復旧工事をした上で利用を続ける方針を明らかにした。珠洲市も同様の対応とする方向で作業を進めている。
一方、馳浩知事は松村防災相と面会し、洪水浸水想定区域などに建てられた仮設住宅の入居者に対し、別の仮設住宅への転居を特例的に認めるよう要望した。
輪島市は、大雨の被災者用に仮設住宅を整備するため、入居希望者を募集すると発表した。ただ、市内には安全な場所が少ないという課題があり、建設場所の選定は難航することも予想される。

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