河川の水かさが急激に増した能登大雨、「狭い川幅」と「河口までの短さ」が被害拡大の要因か

記録的な大雨に見舞われた石川県の能登半島では、国土交通省の発表によると27河川が氾濫して浸水被害が発生した。短時間で大雨が降ったことに加え、能登半島は川幅が狭くて河口までの距離が短い河川が多いため、水かさが急増して人的被害が拡大したとみられる。
気象庁によると、能登半島では20~22日の総降水量が多いところで500ミリを超え、9月1か月間の平均降水量の2倍を上回る大雨となった。
輪島市では21日午前9時頃に線状降水帯が発生し、1時間も経過せずに同市の塚田川が氾濫したとみられる。同市中心部に浸水被害をもたらした河原田川も、新橋観測所で水位のピークを記録したのは線状降水帯発生の約2時間後と、急激な増水だった。
短時間に氾濫が相次いだ理由について、金沢大の谷口健司教授(河川工学)は「雨量が圧倒的に多かった上、能登半島は川幅が狭くて短い河川が多く、雨が降ってから短時間で水位が一気に上昇した」と説明する。谷口教授によれば、この地域は山から海が近く、川の勾配が大きい。山間部の雨水を集めて勢いを増した川が、流木や土砂を巻き込み市街地に勢いよく流れ込んだとみられる。地域住民が危険性を認識する前に、被害が拡大した可能性が高い。
元日の能登半島地震との関連について、谷口教授は「地震による地盤の緩みで土砂崩れが発生しやすくなり、被害拡大に影響した可能性がある」と指摘した。

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