自民副総裁に菅義偉氏、ガラケー武器に3年ぶり主流派に返り咲き

退陣から3年の歳月を無役で通した菅義偉前首相(衆院神奈川2区)が30日、新たに発足する石破茂政権の下で自民党副総裁に就いた。この間、岸田文雄首相に促し党内で派閥解体を実現。総裁選で推した小泉進次郎元環境相(11区)は敗れたが、決選投票では石破氏へ支持を寄せ、唯一派閥を残した麻生太郎副総裁が急きょ担いだ高市早苗経済安全保障担当相に競り勝つ原動力となった。横浜市議時代から愛用する携帯電話(ガラケー)が主流派返り咲きへの武器となった。
「聖子さんが出るのは難しそうだ。斎藤大臣を担ぐ動きが起きるかな」
岸田首相が総裁選への不出馬を表明した8月14日、菅氏は周囲に2議員の名を挙げていた。野田聖子元総務相と斎藤健経済産業相だ。野田は前回総裁選で旧二階派から推薦人を借りての出馬。派閥解消でそうしたやりとりはできなくなると見通したのだ。
斎藤氏は菅氏が支援した小泉氏とは当選同期。石破氏の派閥に所属していたこともある。「麻生氏ら主流派が菅氏ら反主流派の勢力を分散する狙いで斎藤氏の出馬を促す」と踏んだのだ。菅氏の読み通り斎藤氏は周囲からの働きかけで出馬への意欲を示し、推薦人集めを始め、野田氏もあきらめない。
菅氏は野田氏や斎藤氏への支持が予想される議員らへ電話攻勢をかけ小泉陣営へと勧誘。斎藤氏に近い議員は「菅さんからは斎藤さんより先に電話があってびっくりした」と明かしている。「推薦人を全部ブロックされる」(テレビ出演での野田氏発言)状態に折れた両氏は小泉陣営入り。2人を慕う議員も加わった。
両氏の取り込み成功は小泉氏が1回目の投票で全9候補トップの75人の議員票獲得の一助となる。決選投票には進めなかった小泉氏だが、次の総裁選に向けての足がかりは得た格好だ。

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