自民裏金問題「うやむやになってしまう」…刑事告発した上脇博之教授が石破新首相に苦言

自民党の派閥を崩壊させた裏金問題をめぐり、ちょっと前まで石破首相(67)の鼻息は荒かった。総裁選中には「国民に対して説明責任を果たし、納得に至るまで総裁として全力を尽くす」と発言。裏金議員の公認にも「(候補としてふさわしいか)選挙対策委員会で徹底的に議論を行うべきだ」と語っていたが、早くもトーンダウンしている。
「裏金議員の大多数を占める旧安倍派から突き上げを受けたのか、総裁選時の勢いはすっかりなくなっています。10月1日の就任会見では、裏金議員の公認に関して『選挙区でどのぐらいの支持を頂いているのか把握しながら、(公認するか否かを)決定したい』などと述べるにとどめました」(政治部記者)
会見前日の9月30日には、一連の裏金問題で起訴されていた旧安倍派(清和会)の事務局長兼会計責任者だった松本淳一郎被告(77)に禁錮3年、執行猶予5年の判決が言い渡された。しかし、「これで裏金問題はうやむやになってしまうでしょう」と、一連の問題の刑事告発を続けている神戸学院大教授の上脇博之氏が苦言を呈す。
「(事件を)有罪にできたという点では特捜部に対して一定の評価はできますが、残念ながら公判では派閥内で一度は中止の方向にあった裏金が、いつ、誰が再開したのか、という真相が被告人の口から語られることはありませんでした。私としては特捜部の捜査が中途半端だったのかなという印象です」
■再調査「期待が持てない」
そして、総裁選時に石破氏が掲げてきた裏金議員の再調査についても「今後は期待が持てない」と上脇氏は指摘する。
「石破さんは必要性をかねて訴えていましたが、党内でいくら再調査を掲げてもスタンドプレーにしか見られない。それに、本当に裏金議員を再調査し、“公認”か“非公認”かを決めるのであれば、時間が必要です。解散時期の明示前に行うはずですが、結局は説明責任を果たさないまま選挙戦に突入する。裏金議員が当選すれば“みそぎは済んだ”とうやむやにするつもりでしょう」
記者会見で「国民の納得と共感」を強調した石破。こんな体たらくでは国民は協調できるはずがない。

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