仏から返還の放射性廃棄物、「高レベル」に交換して六ヶ所村へ輸送の計画…青森県知事「受け入れ施設がない」

大手電力10社でつくる電気事業連合会(電事連)は10日、フランスから返還される予定の低レベル放射性廃棄物について、同国にある高レベル放射性廃棄物「ガラス固化体」に交換した上で青森県六ヶ所村の施設に輸送する計画を同県に伝えた。電事連の佐々木敏春副会長が同日、県庁に宮下宗一郎知事を訪ね、計画について説明した。宮下知事は「理解できないし、協力もできない」と述べた。
日本と仏の事業者間で2019年、低レベル放射性廃棄物約1800本について33年末に返還を完了することで合意している。
しかし、受け入れる予定の廃棄物管理施設(六ヶ所村)は原子力規制委員会の新規制基準の審査中。運営する日本原燃は、再処理工場(同)と廃棄物管理施設の完成時期を、新規制基準の審査対応などにさらに時間がかかるとして、当初の「24年度上期のできるだけ早期」から「26年度中」に遅らせた経緯がある。
このため、低レベル放射性廃棄物約1800本をガラス固化体約20本に交換することで、輸送量を減らして返還する計画に変更したい考えだ。
日本で発生した一部の使用済み核燃料は、仏や英で再処理された後、ガラス固化体として日本に返還されてきた。電事連によると、仏のガラス固化体は1995年~2007年に計1310本、廃棄物管理施設で受け入れていたが、2011年の東日本大震災後、新規制基準の対象となり、受け入れが中断されている。
会談後、宮下知事は「受け入れる施設がない状況下では難しい。門前払いだ」と語った。佐々木副会長は「今後も丁寧に説明していきたい」とした。

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