奈良公園で鹿の角が刺さりけが、7倍に急増 発情期で攻撃性高く

奈良公園で角鹿(雄鹿)による被害が増えている。鹿に近寄る観光客らに角が刺さるけがが多く、9月の被害人数は35人。5人だった前年の7倍に急増した事態を重くみた県や奈良市が連携し、啓発活動を強めている。
「角鹿厳重注意!発情した雄鹿は攻撃性が高く、角によるけがが増加中」。奈良の鹿愛護会からの協力依頼を受け、市は主要な市内の鉄道12駅のデジタルサイネージ(電子看板)で画像を放映。県も奈良交通のバス車内モニターで同様の告知を行っている。いずれも初めての試みだ。
9~10月は雄鹿の発情期で攻撃性が強くなり、毎年数人程度がけがをするが、県奈良公園室は「今年の数の多さは異例。雄鹿の数が例年より多い」という。奈良公園の鹿は8月下旬から1日10~15頭のペースで角を切られるが「角切りが追い付いていない」と推測する。また、奈良市を訪れるインバウンド(訪日外国人客)が急増し、鹿せんべいを手に公園を歩く人が増えていることも遠因とみられる。
けがは、太ももなどの数センチの刺し傷が多く、9月は10人が病院にも搬送されている。そのため、ホームページや広報誌などの例年の広報活動に加え、電子看板の利用などで発信力を高めている。【山口起儀】

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