「自転車だから大丈夫だろう」という考えは通用しなくなります。あす11月1日から、自転車のルールが変わり、「ながら運転」や「飲酒運転」が厳罰化されます。いったいどのように罰則が強化されるのでしょうか。
10月、朝の通勤・通学の時間帯に行われていたのは、自転車による交通事故を防ごうと自転車のマナー向上を呼びかけるキャンペーン。そこでは、1日から強化される自転車の罰則についても説明していました。
実は、近年、自転車が関係する事故が増加しています。警察庁のまとめでは、自転車が関係する交通事故は、 2023年1年間で7万2千件余りと、前年から2千件以上増えているのです。さらに、静岡県内だけでみても、2023年1年間で3043件となり、前年から100件以上増加しています。自転車の事故が増えている原因の一つに飲酒運転やスマホなどを使いながら運転する「ながら運転」など危険な利用者の増加があります。自転車に関する危険な体験を街で聞いてみると…。
(街の人)
「以前、横断歩道を渡っていた時に、イヤホンをつけた男性がいて、私が渡っているのに気づかず通り過ぎて行ったことがあるので、ぶつかりそうになったことがある」
(街の人)
「スマホを見ながら自転車、それも歩道を、そういうことはある」
(街の人)
「やはり、年齢関係なくスマホを見てる方は多いなって感じる」「自転車も車と変わらないですもんね」
(街の人)
「『ながらスマホ』もあるが、お酒とかも、夜になると暗くなると、大人の方がよろよろになって自転車をこいでいる人がいるので、ぶつかりそうになることがあるので」
こうした自転車の危険な運転が増えていることから、あす11月1日から改正道路交通法が施行され、「ながら運転」や「飲酒運転」の罰則が強化されるのです。
まず、「ながら運転」については、運転しながらスマホなどを手に持って通話をしたり、スマホの画面を注視した場合、6か月以下の懲役、または10万円以下の罰金に。さらに、こうした行為がきかっけで交通事故など危険を生じさせた場合は、1年以下の懲役、又は30万円以下の罰金となります。
そして、今回の改正で新たに罰則が整備されたのが「酒気帯び運転」。これまでは、アルコールの影響で正常に運転ができない「酒酔い運転」に関しては5年以下の懲役、又は100万円以下の罰金の罰則がありましたが、それが、今回の改正では「酒気帯び運転」に関しても、3年以下の懲役、又は50万円以下の罰金となります。さらに、自転車に乗ると知っていてアルコールを提供した人や、飲酒運転であることを知りながら、その自転車に同乗した人は、2年以下の懲役、又は30万円以下の罰金、自転車を提供した人にも3年以下の懲役、又は50万円以下の罰金となります。
(静岡法律事務所 伊藤 達也 弁護士)
「酒気帯び運転だけが罰則の対象になったわけではないので、飲食店につきましても、今後、自転車で来店された方に対して、ドライバーの方に酒類を提供する場合と同様に、注意をする必要が出てくると思う」「また、出勤等で自転車を使われている方に関しても、前日、お酒を飲まれた場合にお酒が残っていて、飲酒運転になってしまう、酒気帯び運転になってしまう恐れもある」
この改正について、酒を提供する飲食店では…。
(海ぼうず本店 高橋 明輝 店長)
「うちは、ありがたいことに、たくさんのお客様にご来店いただいておりますので」「お客様の帰りの方法とかを逐一聞くっていうのはちょっと難しいところはある」「提供する際に、乗って帰ると罰則になってしまうので『押して帰られますか』であったりとか」「お客様ももちろん知らない方が多いんじゃないかなと思いますので、確認をして、客様に選択していただくような形を取れればいいかなと思う」
また、罰則だけではなく、相手に大きなけがや死亡させた場合には、その賠償も多額になります。
(静岡法律事務所 伊藤 達也 弁護士)
「すごい重いけがであれば何千万、一億というのはあり得る話」「死亡した場合はもちろんだが、寝たきりになって、ずっと介護費用が必要だといった場合は、場合によっては、死亡事故よりも賠償額が大きくなる、なので1億以上というのは有意にかかってくる可能性は当然ある」
自転車は、誰でも気軽に乗れる一方で、使い方を間違えれば恐ろしい凶器にもなってしまいます。
(県警察本部 交通企画課 堀井 泰孝 管理官)
「自転車は大変便利で手軽な乗り物だが、やはりルールを守らなければ、被害者、あるいは加害者につながってしまう乗り物。改めて、スマホ、飲酒運転、酒気帯び運転、これについて罰則化されましたので、しっかりとルールを守っていただいて、自転車に乗る際も安全運転に努めていただきたい」