少女の首に手をかけ…“17歳大阪ラブホ殺人”容疑者母の懺悔「で自分を追いつめて…」

「時間を元に戻すことは出来ないし、あの女の子を生き返らせてあげることも出来ません。でも、息子はどうしてあんなことをしたのか。心当たりは……」
大阪・ミナミのホテルで10代の少女が殺害された事件。逮捕された男の母親(60)は肩を落として小誌の取材にこう語り始めた。
◆◆◆
福井と被害少女の間でトラブルが
事件が起きたのは9月28日のこと。大阪市中央区道頓堀のラブホテルで、同市生野区に住む無職・浜田悠愛(ちなり)さん(17)が何者かに首を絞められ死亡しているのが見つかったのだ。
「大阪府警は殺人事件と断定し、一緒にホテルに入り窓から逃げた男を重要参考人とみて捜査を進めていました」(府警担当記者)
事態が動いたのは10月9日。逃走中の男が横浜市内に滞在しているとの情報が寄せられ、漫画喫茶から出てきたところを捜査員が確保。殺人の疑いで逮捕されたのは住所不定・無職の福井竣(しゆん)介(すけ)容疑者(30)だった。
捜査関係者が言う。
「福井と被害少女は初対面。SNSで売買春の約束を取り付けた上で会っていたが、ホテル内で性行為を巡るトラブルが発生。口論の末、カッとなった福井が少女の首に手をかけたようだ」
夢に向かって突き進んでいたはずの福井
そんな衝動的な犯行に及んだ福井が生まれ育ったのは、岐阜県山(やま)県(がた)市内の緑に囲まれた地域だった。
近隣住民が語る。
「福井の家は、ずいぶん昔は縫製工場を営んでいました。でも、彼が幼い頃に経営難に陥り、いつしか工場は閉鎖された。小学校の頃は書道教室に通っており、コンクールで金賞を取るくらい字が上手い子でした」
地元の中学・高校を卒業し、自動車整備士の養成に重点を置く中日本自動車短期大学に進学。夢に向かって突き進んでいた。
奨学金を父親が使い込む
ところが――。
福井の知人が明かす。
「借りていた奨学金を父親が使い込んでしまい、学費が払えなくなって中退することになったのです」
資格取得を諦めた福井は、ファミレスやパチンコ店などでバイトをするようになったが、どれも長くは続かなかった。
「群馬出身の彼女を追いかけて、それまで続けていたバイトをスパッと辞めて伊勢崎市内で同棲していた時期もあった。そのまま結婚するのかと思っていたら、結局別れて地元に戻ってきていました」(同前)
「普段と変わらず仕事に行ったとばかり」
父親が7年ほど前に病死して以降は、4歳下の弟と母親の3人暮らし。仕事を転々としながらも直近は車の修理工場で働き、約25万円の月給を貰っていた。
「だからあの日も、普段と変わらず仕事に行ったとばかり思っていたのに……」
そう嘆息するのは冒頭で登場した福井の母親である。事件が起きる3日前、母は息子を職場近くのコンビニまで車で送っていった。
「いつもと同じように小銭入れを渡してあげて、そのお金で飲み物を買い、コンビニ前でタバコを吸って『ほんじゃね』と言って別れたんです」(同前)
「大阪までの電車代も出せないはずなのに……」
しかし、その日から息子は帰宅せず、母に何も告げずに大阪へと向かったのである。母親が続ける。
「あの子は給料を貰うと、あっという間に使ってしまう。だから私が口座を管理して、小遣いみたいな形で月4万円だけ渡していた。大阪までの電車代も出せないはずなのに……」
事件後、息子についた国選弁護人からこんな話を聞いたという。
「仕事を斡旋してくれるサイトがあり、交通費と食費と宿泊費を前払いで出してくれる会社があったみたいで。息子はそれに申し込んだらしいです」(同前)
福井がそうまでして金を稼ごうとした理由は何だったのか。
「趣味のバイクが壊れてしまい、修理のためのパーツを後払いで沢山買っていたようです。私にも『お金貸して』と言うようになっていました」(同前)
「よく嘘をつく子でした。」
その上で改めて息子の動機を問うと、こう答えた。
「小さい頃から口が達者で、よく嘘をつく子でした。ひとつ嘘をつくと、それがバレないためにまた嘘をつく。私にも嘘をつき、どんどん自分を追い詰めて、家にいたら怒られると思ったんじゃないのかな」(同前)
だが家出の動機と殺人は全くもって繋がらない。
「私に聞かれても……。ただ、今は『罪を償ってください』という気持ちしかありません」(同前)
福井にできるのは事件の全容解明に向けて、すべてを正直に話すことだけだ。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年10月24日号)

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