宇宙航空研究開発機構(JAXA)の種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)で26日、新型固体燃料ロケット「イプシロンS」の第2段エンジンの地上燃焼試験中に爆発事故が起きた。現場では火災が発生したが、けが人はいなかった。第2段エンジンの爆発事故は昨年にも発生しており、今年度中に初めて打ち上げる予定だったイプシロンSの実用化は、大幅な遅れが避けられなくなった。
燃焼試験は26日午前8時半からセンター内の試験場で始まり、約2分間、第2段エンジンを燃焼させて性能を検証する予定だった。ただ、点火の約20秒後からエンジンを覆う「モーターケース」内部の圧力が徐々に高くなり、49秒後に爆発したという。
3段式のイプシロンS(全長約27メートル)は、基幹ロケットの一つ「イプシロン」の改良版として、JAXAとIHIエアロスペースが共同開発している。ただ、第2段エンジンは昨年7月にも、秋田県にあるJAXA実験場で爆発事故を起こした。JAXAは点火装置の一部が熱で溶けたことなどが原因と特定し、今回は装置を断熱材で覆う対策を施して再試験に臨んだ。
爆発時の圧力は予想より高かったが、本来は耐えられる値だったという。JAXAは今後、試験中のデータや破片を解析して原因を調べる方針で、井元隆行プロジェクトマネージャは「全てに対して対策を打ち、できるだけ短い期間で原因を究明したい。3度目(の失敗)はない」と話した。
政府はイプシロンSを大型液体燃料ロケット「H3」と共に基幹ロケットの2本柱に据える。最初の打ち上げではベトナムの地球観測衛星を搭載予定だが、大幅な延期は確実となった。政府が目指す宇宙ビジネス拡大にも影響する恐れがある。
和田豊・千葉工業大教授(宇宙工学)は「前回の失敗の原因究明で見落としがなかったかも含めて、再検証が必要だ」と指摘した。