保育士が園児を逆さづり状態で運ぶなど虐待、PTSD発症の例も…臨時監査なしの初動も問題視

神奈川県秦野市の私立認定こども園で2022年2月、40歳代の女性保育士が園児の頭をたたくなどの暴行を行った問題で、第三者委員会がまとめた報告書の内容が29日、明らかになった。女性保育士による虐待は他の園児にも及び、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症した子もいるという。
保護者と代理人弁護士らが同日、横浜市内で記者会見し、園から受け取った報告書を公表した。女性保育士は23年2月に暴行の疑いで書類送検され、不起訴となっている。
報告書によると、保育士は21年度に担任となった4歳児クラスで虐待を行った。頭をたたく行為のほか、別の園児の両足首を持ち、体を逆さづりの状態にして運んだり、複数の園児の体を平手でたたいたりした。
第三者委は組織的な課題として、現場任せの園長らの機能不全を指摘。外部人材の登用など抜本的に見直すよう提言した。園長は29日、「提言をふまえ再発防止に取り組む」とのコメントを出した。
さらに報告書は、保護者から情報提供を受けた市や県が、臨時監査を行わなかったことなど初動対応にも問題があったとした。保育士は問題発覚後に園を辞めており、県の担当者は「県と市が定めた対応ガイドラインに基づき緊急性がないと判断した」としている。
保護者らは子供が今も精神的に不安定で、通院が必要になっていると説明し、園に対する損害賠償請求も検討しているという。

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